安徳セキュリティ社長・行徳清秀

「なあ、いつになったら、ウチの若い連中をボコボコにしてる奴を見付けられるんだ?」

『あの……社長、今日、休日ですよ』

 俺は副社長の久米に電話をしていた。

「いや、お前、今、事務所に居るだろ」

『忘れ物を取りに来ただけっすよ』

「それはいいから、どうなってる。クソ伯父貴がブチ切れる寸前なんでな」

『あの人、そろそろ始末して、社長が……』

「やめろ、一般回線ごしに話す内容じゃない」

『はぁ……』

「で、どうすんだ? 何か見付ける手は有るか?」

『じゃ……俺の飼犬のエテ公から何か情報を引き出してみます』

「ああ……そうしてくれ」

『あと、すいません、今日は夕方まで電話に出られそうにないんで』

「何で?」

『いや……別れた嫁との離婚の時の協定で……月1回だけ息子を会える日なんですよ』

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