久留米レンジャー隊 隊員 大石隆太 (2)

 麻酔薬で眠らせたマル暴の刑事をバンの後部座席に押し込むと、再び車を走らせ……だが……。

 交差点まで差し掛かった時、ふと……横を見ると……。

 そこに居た眞木さんの妹はこちらを見て……次の瞬間、着ていたジャケットのフードで顔を隠し……ええええッ⁉

 俺が運転してた車の助手席のドアに飛び付く。

「な……何やってんのッ⁉」

 俺は車を停めて、助手席の窓ガラスを開けて、そう言った。

「そっちこそ、何やってんですか? 後ろの席の男は何ですか?」

「だから……その……」

「どこで犯行を行ないました?」

「犯行って……」

「どう見ても誘拐でしょう? 令状取ってるんですか?」

「……取ってない……」

「この気絶してる奴、私達を尾行してましたけど……まさか……単なるチンピラじゃなくて……」

「う……うん……その……君の姉さんを脅してるマル暴の警官の部下……」

「警官が警官を誘拐したんですか? 洒落になりませんよ。とりあえず……防犯カメラに写ってないか確認しましょう」

「あ……ああ、そうだね……」

 そう言って、俺は車から降りようとしたが……。

「どの辺りか言って下さい。私が行って確認します。犯人が現場に戻るのは厳禁ですよね」

「う……うん……この道路を5mほど……うん……そこ」

 確かに、周囲には防犯カメラは有るが……いや……幸運にも、周囲のどのカメラからも死角になって……。

 あれ?

 眞木さんの妹さんは、口をあんぐり開けて……顔が向いている先には……。

 駆け戻って来た眞木さんの妹さんは……。

「一見すると防犯カメラの死角ですけど……」

 そう行って、眞木さんの妹さんは……さっき見ていたモノを指差す。

「あの位置から見ると……あのカーブミラーに防犯カメラの1つが写ってました」

「えっ?」

「この男を誘拐した時の状況は……かなり不鮮明でしょうけど、防犯カメラに写ってる可能性が有ります。あのカーブミラーの中にね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る