安徳セキュリティ社員・重松蓮 (2)

 若頭カシラと……謎の男が事務所から居なくなって約一〇分後、事務所の固定電話が鳴り出した。

 電話のパネルに表示されてる番号は……ん?

 待て……この番号、ウチで飼ってる広域組対マル暴に連絡用に渡してる飛しの携帯電話ケータイだ。

「はい、どうしたんですか、猿渡サルさん?」

『お……い、すぐに、お前んとこの副社長に連絡取りたいんだけど……携帯電話ケータイが繋がんねえ……』

「えっと……ちょっと、若頭カシラじゃなかった副社長は用事で電話に出られなくて……戻って来るのは夕方ぐらいだと思います」

『あああ……あの……野郎……じゃなかった、あの人……なにやって……』

「どうしたんですか?」

『すまん、人手が要るんだが……ちょっと、1人あたり、これ位の値段で、ヤバい仕事をやってくれる奴、何人か居ないか? 出来れば、足が付かないのを……』

 猿渡エテ公が提示した金額は……チンピラ1人の日当としては……高価たかからず安価やすからず位の金額だった。

「何人か集めてみますが……あの……何をやらせるんですか?」

『誘拐』

「はぁっ?」

『昼までに女子高生を2人ほど誘拐したい。出来れば2人とも誘拐したいが……1人だけでも成功だ』

 おい……待て……あんた、刑事だろ? 何、考えてやがる?

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