眞木桜(まき さくら) (4)

 半分ぐらいチェックし終ったのに、渡せるモノは……ほんの数部。

「続きは、明日以降にするか……」

「はぁ……で、コーヒーカップ誰が洗うんですか?」

 あたしは、そう言って瀾が持って来たコーヒーのカップを指差す。

「え?」

北米連邦アメリカあたりの映画だと……客かな?」

「でも、ここは日本ですよ」

「今時、家事をやらない男なんてのもなぁ……」

「そう言えば、治水は?」

 そう言って、瀾が指差したのは……壁の時計。

 9時半までゲームさせろと言ってたのに……その9時半から1時間以上が過ぎている。

「洗いモノは、あいつにやらせるか……はい……男性陣は帰った帰った」

「は……はあ……」

「やれやれ……」

 瀾はコーヒーカップを台所に持って行き……あたしは治水の部屋に……。

 灯りは消えていた。

 ゲーム用PCのモニタもいていない。

 そして……。

「……何で自分だけ、寝てやがる?」

「すいませ〜ん」

 その時、瀾の声。

「何だ?」

「これから、1〜2時間ほど、学校の勉強の復習と予習をやるんで、明日、寝過しそうだったら、起こして下さい」

「……わかった」

 ……結局、洗い物係は、あたしか……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る