高木瀾(たかぎ らん) (3)
そして、私と桜さんと治水、そして桜さんのカイシャの人達2人は、延々と、その書類をチェックし続けていた。
書類と言っても、桜姉さんの職場の
その中に有る肩書が管理職クラス以上の人の名前をマーカーでチェック。その名前をネットで検索して「ネットで調べれば、桜さんの職場の管理職クラス以上の人だと判る」かを調べる。
大概がNGだけど……迂闊にも、SNSのプロフィールに、どこに勤めてて、どれ位の役職かを匂わせてる人が居た。
最近の
私が破門になった「御当地ヒーロー」「正義の味方」では、SNSは原則禁止で、「表の仕事」が自営業の人でも、その「表の仕事」の宣伝や告知だけをやって、個人的な事は一切、SNSに書かないようにしている。
まぁ、本人が迂闊とは言えOKが有るのはありがたいが、1つでもNGが有る社内報や会報は丸ごとNG扱い。
「あのさ……9時半までゲームしてていい?」
そう言い出したのは治水。
「何で9時半?」
「オンラインRPGでパーティ組んでる仲間の中に、小学生が2人居るみたいで……夜遅くは出来ないみたい」
「どう云うオンラインRPGのどう云うパーティだ?」
「いいよ、行ってこい」
「いいんですか?」
「よくよく考えりゃ、お前らまで巻き込むのは……」
「はぁ……」
「チェック終ったのが……四分の一から……三分の一で……OKは、たったこれだけか……」
「コーヒーでも淹れてきます?」
「ああ、頼む……。一番いいのを……」
台所でお湯を沸かし、ドリッパーにコーヒーの粉を入れ……。
どうしたモノかな……。
多分、伯父さんあたりに相談すれば、一発で解決だ。
しかし、伯父さん達「正義の味方」「御当地ヒーロー」は、桜さん達、
これ以上、取り締まる側と取り締られる側が「なあなあ」「ズブズブ」な関係になるのは……当の伯父さんが望まないだろう。
人数分のカップにコーヒーを注ぎ、まず、治水の部屋に持って行く。
「なんだ、そのゲーム?」
画面では、熊人間が口から雷撃らしきモノを吐いて、いかにもなファンタジーRPGの雑魚キャラを薙ぎ払っていた。
「普通のファンタジーRPGだよ。オークとかエルフとかゴブリンが出て来るような」
「で、何、その熊?」
「あたしのキャラ。ワーベアの魔法使い」
「はぁ?」
「魔法で肉体を強化して前線で戦うキャラ」
えっと……「普通のファンタジーRPG」の定義や範囲って、どうなってるんだ?
まぁ、いいや。
治水の部屋を出て居間に向かうと……桜さんと、その上司の声。
「すいません、あたしが研修に行ってる間……」
「言いたい事は判るけど……この秘密は、今んところ、カイシャの他の奴に明かすのは……」
「あ、言いたい事は判りますけど、最後まで話を聞いて下さい」
「何だ?」
「
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