広域組対 捜査官 猿渡喜龍 (2)
「おう、どうした?」
指定された場所に行くと……居たのは久米銀河。……警備会社「安徳セキュリティ」の副社長……は表向きで、実態は広域暴力団の荒事専門の二次団体の
まずは……何も問題は起きてないのに、何故、呼び出した? と云う感じを装う。
口調も、立ち振舞いも、わざと無神経かつ強気に……。
手も足もおっ
「順調みたいですね」
「ああ……予定よりは多少遅れてるが……
S……つまりスパイの事だ。
それを聞くと久米は……テーブルの上に分厚い封筒を置いた。
「部下の方が、体の調子が悪いそうですね。マル対を尾行中に、急病になったとか。その、お見舞いです」
えっ……?
中身は……電子決済全盛のこの御時世に……百枚以上の
どう云う事だ? と思った、その時、久米の
電話に出て一言目は、「はい」だったが、どうやら、相手はヤツの部下……少なくとも目下の誰かみたいで……段々、「おい」だの「こら」だのが混じり、しかも、その誰かは不始末をやったらしく……。
「おい、これ以上、ヘマしたら口から生コン注ぎ込んで筑後川に沈めるぞ……判ってるだろうな」
えっと……。
「いやぁ、お互い使えねぇ部下を持って大変ですねぇ……」
えっ?「お互い」?
「なんか……サルさんの部下も……高校生尾行してたら、見失っちまったとか……それも2日連続で」
まて……誰を
「ああ、ところで、あくまで念の為の確認ですが……。ええ、サルさんが、そんなヘマするなんて事は無いんで、失礼な質問なのは判ってんですけど……」
お……おい……何だ?
「……今んとこ必要なのは、事務職とか庶務でもアクセス出来る情報なのに……わざわざ、荒事に慣れてる現場の刑事をSにしようなんて思ってませんよね?」
し……しまった……。
こいつらの「組」の「S」は……俺と俺の部下以外にも、ウチの「カイシャ」内に居る……。
そして……ヤツらにとっては「俺より信用出来る別の『S』」に……俺達を監視させているらしい……。
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