高木瀾(たかぎ らん) (2)

「今日もか?」

 学校から帰る途中に、わざと……家ではなく、西鉄久留米駅近くのネットカフェで治水と打合せをする事にした。

「うん……こっちも、2日連続」

 昨日、通学中に何者かに尾行されていた。

 その時は……何とか尾行を「まいた」。

 今日もだった。

 一応、私の父方の「家業」は「御当地ヒーロー」「正義の味方」だ。尾行されてるかの判断方法や、尾行を「まく」方法は……子供の頃から教え込まれ……いや……異常な家だったのは、自分でも判ってるが……。

 そして、マズい事が1つ……。相手に「私が尾行に気付いている」事に気付かれた可能性が高い。

 一方、治水の方は……そんな訓練は受けてないが……治水の取り憑いてる「水の神様」の能力で、周囲の人間の考えや感情や体調を知る事が出来る。

「どうやって……その……尾行をまいた?」

「昨日は……車で尾行されてたんで……車のエンジンの冷却水を凍らせた」

「はぁっ?」

「ん……で……エンジンの方に冷却水が行かなくなったみたいで……しばらくしたら、エンジンから煙が出てた」

「待て」

「やっぱり、EV電気自動車の時代にガソリン車ってのも考えモノだね」

「そう云う問題じゃない」

「で……今日は……尾行してたヤツの体の中の『水』をちょっとね……」

「お……おい……まさか」

「あ……えっと……死んでないと思う。流石に慣れてきたんで……」

「慣れてきた、って何だ? まさか、他の誰かにもやったのか?」

「あ……どうしても聞く必要が有るなら……本題と関係ないから、後にして」

 完全にマズい……。

 私と治水を尾行してる誰かに……私と治水が「普通じゃない」事が、ほぼ確実にバレた……。

「とりあえず……桜さんと……鳥栖とすの伯父さんに相談だな……」

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