久留米レンジャー隊 隊長代理・中島真一 (1)

『あの……中島さん、今日、非番でしたよね?』

 電話の主は、部下で、副隊長代理(俺とこいつが研修終えたら正式に副隊長になる予定)の眞木桜だった。

「やっかいな頼みか?」

『ええ……多分……。妹たちが家を出たら……何か、チンピラっぽいのがゾロゾロと尾行してるみたいで……』

「俺に何とかしろと?」

『お願い出来ますか?』

「そのチンピラどもを捕まえろとでも言うのか?」

『それが……一番安全っすね……

「おい、俺、今日、非番だぞ。非番の俺が……それも、多分、何の異能力も無いチンピラ逮捕したら、絶対にややこしい事になるぞ」

『でも、何か手を打ってもらえませんか。下手に強かったり頭が良かったりする奴より、チンピラの方こそ何をしでかすか判んないっすよ。下手したら、

「大石も非番なんで、あいつに行かせる。お前の妹たちから……

『中島さんは?』

「裏に居る奴を何とかする」

『とりあえず、お願いします』

 冗談じゃねえ。異能力犯罪を取締るウチの「カイシャ」の殴り込み部隊の隊員の家族が超弩級の「異能力者」だった事が上にバレたら、どこまで話がややこしくなるか知れてものじゃない。

 それを知らずに、阿呆な真似をしてる……あの男には、ちょっと痛い目を見てもらう事にするか……。

 ヤクザかチンピラみたいな真似だが、警察機構おれたちだって舐められたら実行力ちからを失なう点では似たようなモノだ。例え、相手が「同業他社」だったとしても。

「すいません、久留米レンジャー隊の中島ですけど……」

 俺は福岡統括部に電話を入れた。

「広域組対マル暴の人に急に連絡取る必要が出て……ええ、広域組対マル暴久留米支局の猿渡喜龍って人です。はい、携帯電話ケータイの番号と……出来れば携帯電話ケータイのGPSの識別コードもお願いします」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る