愛がいやならLOVEでどうだ

　小樽に住む森村優慈は中学三年の晩秋、背中に「青い翼」を持ち、人々の愛が見えるようになる。

　その能力と引きかえに、自分の愛はかなわなくなる。両思いだったはずの色辺マリアとも結ばれず、マリアは別の男に奪われてしまう。

　高校一年生の冬、吹雪の中で日本クピド協会北海道支部会長の名刺をくれた男に、優慈は「恋のキューピット（クピド）」であることが告げられる。が、正式にクピドの仕事をするには、クピドの適正試験に合格しなければならない。優慈は合格を目指し、「愛の家庭教師」田中を雇う。優慈は田中の教えに従ったり、愛野村の長老クピドの仕事ぶりを見学したりして、クピドとしての能力を向上させてゆく。

　高校二年生の夏休み、クピド適性試験が北海道某所のお城で、三泊四日の泊まり込みで行われる。優慈は大勢の自…続きを読む