雪除けの鬼

雪国に暮らしていた超人的人種、雪国人。
その血を引き継いだ者たちは今〝寒窺（サムライ）〟の名で呼ばれ、降りやまぬ雪を排除し続けることで、人々の生活を守っていた。

ところが、エチゼン国においては寒窺の高齢化が著しく、城下の雪かきもままならない状況が続いていた。雪の重みに耐えかねて、多くの家々が潰れつつあった。

そんな中、二人の寒窺――カキノスケとヒエモンは、危殆に瀕したエチゼン国を救うべく旅を続けていた。雪に埋もれてしまった家を〈スコップ〉一振りで裸にしてしまうという伝説の寒窺〈雪除けの鬼〉を捜しだし、故国へと連れ帰るために。

しかし雪原には果てがなく。飢えに胃は焼け、孤独に心は涸れてゆく。
生きて帰ることはできるのか？
そもそも〈雪除けの鬼〉に会えるのか？
絶望に溺れかけたその時、二人…続きを読む