風はいつも君色に染まる

義父から暴力を受ける長岡千紗は、通っている小学校でも孤立した存在だった。
小五の冬、同じクラスの小田紅也と親しくなる。
彼は福祉施設で暮らす身寄りのない子供だった。
境遇を感じさせない明るさと優しさに惹かれ、絆を深めるが、小六の春、別れ話に逆上した義父が母を刺し、千紗が一時避難していた福祉施設に火を点ける。
学校帰りに知らせを聞き、施設へと急いだ千紗と紅也は途中で事故に遭い、火事現場にたどり着くことはできなかった。

全てが自分のせいだと己を責める千紗は、街を出て、遠い親戚のもとへ身を寄せる。
多くの人を不幸にしてしまった後悔と懺悔の思いは、何年経っても消えない。
重傷で病院へ運ばれ、見つかったばかりの実父にひき取られた紅也とは、それきり連絡を取ることはなかった。

十六歳になった千紗は、紅…続きを読む