眼鏡っ娘

 人は平和な日常を求めると同時に非日常も望んでいる矛盾した生き物である。


 平和な日常の有り難みを感じながら、何かいつもと違うことを求めてしまう。


 そして、いつもと違うことに対して、魅力を感じてしまうのである。


 例えば、いつも制服姿しか見たことのないクラスメイトの私服姿であったり、体育の時のポニーテールやお団子結びであったりといつもと違うものに対して、何故か興奮してしまうのである。


 その最たる例が、メガネである。


『眼鏡っ娘』


 文字通り、ただメガネをかけた女の子である。

 もちろん普段からメガネをかけている委員長キャラのような子も多くの支持を集めているが、普段メガネをかけていない子がコンタクトをつけ忘れたとかでメガネをかけてきた時のギャップがたまらなく最高であると言われている。

 メガネをかけると理知的なイメージはもちろん付与されるが、なぜかエッチな感じも見受けられてしまう。

 ヒロインが稀にかけるメガネの破壊力は想像を絶するほどの威力を持っているのである。



 僕は、今、ちょっとエッチなメガネ先生に勉強を教えてもらっている。

 もちろん集中できないが、こんな先生に教えてもらっていたら、成績なんて余裕でめちゃくちゃ上がる自信しかない。

 この先生のためならなんでもできそうである。


 僕がどうしてこんな状況になっているのか振り返ってみよう。



 僕は気づくと三年生になっていた。


 沙耶とイチャつく春休みが一瞬で終わり、気づくともう三年生になっていた。


 そして僕は、進路希望調査の紙を持っている。

 正直、何も考えていなかった。

 だって今が幸せの絶頂期なのだから。


「はぁ、どうしよう。進学するか、就職するか。頭もそんなに良くないしなぁ〜、就職するとしてもやりたいこともないしなぁ〜。どうしようなぁ〜。」


 僕はため息をつく。

 将来って考えるだけでもつらい。


「貴志〜、そんな深いため息ついてどうしたの〜?」


 絶望のような闇にいた僕に光がさした。

 僕を心配するこの声の主は、我が愛しき彼女、沙耶である。


「進路どうするか迷ってて。沙耶はどうするの?」


「あたしは進学だよ〜!近くの国立大学行く予定〜!」


 なっ!?沙耶は進学だと!?

 そ、そういえば、沙耶は頭が良かったんだ!!

 ハイスペック彼女だぜ。


「そっか、沙耶、すごいね。頭いいから行けそうだね。僕はそんなに勉強できないから、大学は無理そうだなぁ。」


「え〜!貴志も一緒に大学行こうよ〜!貴志と一緒なら楽しいキャンパスライフになると思うのに〜!!」


 なっ、なんだと!?

 きゃ、キャンパスライフだと!?

 あのリア充たちがキャッキャウフフしまくってると言われるキャンパスライフだと!!


 沙耶とキャンパスライフか〜!

 毎日一緒に大学行って〜、毎日私服だから毎日デートみたいだし〜、一人暮らしとかして〜、沙耶と半同棲みたいになっちゃったりしちゃったりして!!


 うん!最高のキャンパスライフだ!!


 ダンッ!

 僕は机を叩いて立ち上がる。


「沙耶!僕は沙耶とイチャイチャキャンパスライフを送るためにがんばって大学に行くよ!!」


「やった〜!一緒にがんばろ〜!」


 沙耶が嬉しそうにしている。

 うんうん!この顔見れただけでも決意してよかったと言える。


「貴志って、成績どのくらい??」


 あっ、意気揚々と宣言したはいいけど、僕、全然勉強できないんだった。


「じゅ、順位で言うと、下の上くらい。勉強どうしよう。ああ、我が最高のキャンパスライフが僕の目の前から消え去っていく。」


「ほんとに貴志はしょうがないなぁ〜!あたしが教えてあげる!」


 というわけで、僕は沙耶に勉強を教わることになったのである。

 今は沙耶の部屋で一緒に勉強しているところだ。


 なぜ沙耶がメガネをかけているのかというと、「なんか雰囲気出したほうが楽しいじゃん!」ということらしい。


 沙耶の滅多に見られないメガネ姿。

 よき!よきよき!


 かわいい!!そしてちょっぴりエッチ!!


「貴志〜、なにぼ〜っとしてるの〜?手が止まってるよ〜?」


 見惚れていると、沙耶が笑顔なのに、後ろに般若が見えそうな怖いオーラを出していた。


「す、すみません!沙耶のメガネ姿が、かわいくて。」


 すると、沙耶は一瞬照れたが、またすぐに怖いオーラを出した。


「嬉しいけど、そういうのはあとからね〜。こんな学力じゃ大学行けないよ〜。ねえ貴志〜、がんばるって言ったよね〜?あれは嘘だったのかな〜??」


 さ、沙耶がヤンデレのような空気を出している!!

 こ、怖い!!

 でもなんかちょっぴり興奮するかも。


「は、はい!すみません!」


「じゃあ、今日はこれを全部解くまで帰らせないからね〜。」


 僕の目の前に分厚い問題集が置かれる。


「さ、さすがに厳しいんじゃ〜?」


「つべこべ言わずさっさとやりなさい。た•か•しくん?」


「は、はいーー!!」


 沙耶の教え方はスーパースパルタだった。

 だがしかし、なぜかこれもこれでいいかもと思ってしまう自分がいる。


 メガネ美人先生は、全男子の夢なのだから。


 それからというもの、小森貴志の成績はうなぎのぼりだったという。




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