★★★ Excellent!!!
地獄の結実 辰井圭斗
よくこんなもの抱えて生きているなと思う。別に作品世界=作者の心象風景ではないのだけれど、とはいえ何らかの発露ではあるので。
地獄絵図を書くのは割に容易い。けれど、地獄を地獄として見る心を残したまま地獄を書くのはとても難しい。想像力が足りないか、感性が足りないか、その地獄に心がもたないかして折れる。
よくこんな地獄を書くと思いながら読むけれど、本当にすごいのはその情景ではなく、それを見る登場人物なり作者なりの心の方かもしれない。
その地獄に揺らがないからではなく、揺らぎながらそこに在るから目が離せないのだとは、脱線。
脱線ついでに別作品の話をするのだけど。同作者様に、『僕と千影と時々オバケ』https://kakuyomu.jp/works/1177354054891649776という作品があって、千影という不安定になっていくヒロインがいる。その作品をリアルタイムで追いかけていって終盤まで読んだところで、作者様とあるやり取りをして、「あ、この人千影だ」と思った。垣間見えた精神の揺らぎ方がダブっていたので。そこまで作者様のことを知りはしないのだけど、この人は件の作品を書くべくして書いたのだなという気がした。
恐らく、『黒ノ都』も、この地獄も書くべくして書いている。それを怖いとは思いながら、先を読みたいと思ってしまう。
ファンとしては"最終決戦"だなんて冗談ではないのだけど、それ…
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