第10話 確認事項
会長兼球団オーナー、六道寧々の要件とは以下の通りである。
取引先の食品加工業社長の娘さんが心臓の病で入院している。
いまは発作が収まっているが、いつ急変するかわからない容体だという。
娘さんは真浦道太の大ファンで、いつ死んでも悔いないようにいまのうち、ひと目真浦に会っておきたいとのことであった。
「なんや、そんなことかいな」
拍子抜けしたような態度で真浦がいった。日頃の行いが行いだけに、進退に関わるような難題を持ちかけられるものと身構えていたのである。
「お安いこっちゃ。その娘さんの名前と入院先の住所教えてくれたら、いまからでも飛んでいくで」
「昨日の今日やで。そんな体で大丈夫なん?」
寧々もざっくばらんな口調で真浦の体調を気づかってくれている。昨日の試合で大事なところにデッドボールを受けたのではなかったか?
「あんなヘナチョコ球どうってことあらへん。なんなら確かめてみるか?」
「えっ?!」
寧々の頰が若干あかくなった。
「遠慮すなや。この前もたっぷり確かめたやないか」
そういうが早いか、真浦は穿いていた綿パンをトランクスごと一気に押し下げるのであった。
第11話につづく
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