第9話 球団オーナーの依頼
翌日。
真浦はタイタンズの親会社である六甲運輸の会長に呼び出されて、12階建て本社ビルの最上階にある会長室を訪ねた。
「入りなさい」
神戸港が一望のもとに見渡せるこの会長室は、まるで天守閣のような空間で、足を踏み入れた瞬間、自分が天下人になったかのような錯覚を味あわせてくれる。
そんな錯覚を充分味わい尽くしたであろうこの部屋の主が、マホガニー製の執務机から離れて背中を向けていた。
「御用っちゅうのはなんでっか?」
真浦がぞんざいな口調で要件をきいた。
オーナーだろうが監督だろうが関係ない。真浦は相手によって態度を変えるようなことはせず、いついかなるときも自分のペースを守っている。
「あなたに頼みたいことがあるの」
会長兼球団オーナーが振り返った。
小さな宅配会社の2代目女社長であった六道が、関西一円を席巻する運輸運送グループの長になった経緯は
一説にはヤバイ筋の金主が
「なんや頼みごとって?」
テーラードジャケットにインナーは白のVネックブラウス、ジャケットと同色のタックスカートを履いた姿は完璧なキャリアウーマンのそれである。
確か今年42になるはずだが、年齢を感じさせない容姿とファッションに真浦の股間は早くも反応している。
「ある少女のお見舞いにいってほしいのよ。
頼むわ。このとおりやマラさん」
大阪の町娘の地金をだして六道寧々が真浦を拝んだ。
第10話につづく
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