第18話 抑えきれない昂ぶり
東京グレイツVS六甲タイタンズ、真夏の東西対決三連戦はついに最終日に突入した。
初戦はグレイツ打線が爆発してタイタンズは7ー0で負けたが、二戦目は真浦のサヨナラデッドボールで勝ちをおさめ3ー4で勝利。三戦目の今夜はグレイツ先発の
豪志園球場上空の雲行きが文字通りあやしくなってきた。
閃光とともに雷鳴が轟き、ポツポツと大粒の雨が振り出したかと思うと、それはあっという間に雨脚を強め激しい本降りの雷雨となった。
主審が試合の中断を宣言して係員がシートを持ってグラウンドに飛び出してくる。傘を用意してなかった観客は慌てて球場内の通路に避難した。
そのころ、真浦は代打控室で懸命にオールドヒッコリーのバットを振っていた。
もちろんいつもの全裸スタイルだ。
正しいフォームでスイングすればイチモツが内腿のあるポイントにびしりと当たる。
だが、今日はことごとくポイントがズレている。
何度振ってもイチモツは不規則な軌道を描いて逸れていってしまうのだ。
原因はわかっている。
真浦は代打控室の室内電話をとると、ベンチにいるであろう広報の青井未央を呼び出した。
コンコン……。
軽いノックの音が響いて未央が部屋に入ってきた。
全裸素振りの衝撃は前回で経験済みなのだろう、平然とした対応でまずは現状報告する。
「雨が止みました。どうやら通り雨だったようです」
未央の報告どおり、備え付けのモニターでは審判団がグラウンドに出てきて協議している様子が映し出されている。
「いま、係員のひとたちがグラウンドを整備しています。それから…」
未央はなぜかそこで言葉を区切った。
「それからなんや?」
「菅生投手に替わって、渋川投手がベンチにでてきました」
テレビカメラの角度ではまだグレイツベンチの動きは捉えきれていない。
しかし、真浦は驚かない。8回裏、タイタンズに1点を返された場面だが、菅生は明らかに限界だった。大量失点につながりそうな投球内容だったのだが、なんとか最小失点に抑えることができたのはタイタンズの打線が不甲斐なかったからだ。
「まあ、当然やろな。向こうもわしが出てくるのを望んどるやろ」
無失点登板のタイ記録がかかった大事な場面をフイにされたのだ、今度こそきっちり抑えてリベンジしたいに違いない。
「あの…あたしに用ってなんですか?」
なかなか要件を切り出さない真浦に未央は焦れて言った。
「用か? 用は……これや!」
そういうと真浦は未央の正面に立った。
ググッと股間の魔羅バットが勢いを増して持ちあがってゆく。
「
第19話につづく
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