第17話 ホームランの誓い
「なっ、なにしとんのや、おまえ!!」
「どうしたんですか、あなた…あッ!」
遅れて部屋に入ってきた素子も思わず声をあげ、その場に立ちすくんだ。
「あ、パパさん、ママさん、違うんや。誤解や!」
真浦が慌ててイチモツを引き抜き弁明をしようとする。
「なにが誤解や、おんどれ丸出しやないか、この外道、恥知らず、強姦魔!!」
テカテカに光ってビンビンに上向いた真浦のイチモツをにらみつけて、高宮広志が怒鳴り声をあげた。よそ行きの言葉を振り捨て関西弁でまくし立てる。
「病人になんてことを…け、警察に訴えます!」
素子も肩を震わせ目をつり上げて難詰する。
「ち…違うの。パパ、ママ……うッ!」
真浦を庇おうとする璃子だが、興奮しすぎたようだ、あられもない姿のままベッドの上でくの字になって胸を押さえている。
「璃子、しっかりしろ!」
「璃子ちゃん!」
広志がナースコールのボタンを押し、素子が娘の身繕いを素早く整えた。
「璃子ちゃん、わいは誓うで。璃子のためにも今夜の試合、ホームラン打ったる!!」
真浦はベッドを降りると、璃子に向かって大声で誓いを立てた。
「そないなことより、その薄汚いものをしまえ! もうじき医者やナースが飛んでくるやないか!」
「おっと、そやった」
まだしまい忘れたことに気づいて、真浦は慌てて股間の魔羅バットをトランクスに納め、綿パンを穿きなおした。発射前だったので麺パンの中心部がもっこりと浮きあがり、形と存在を主張している。
「どうしました?!」
医者と看護師がやってきた。
どうやら退散した方がよさそうだ。
「璃子、約束や。わしは絶対、ホームランを打つで!!」
真浦はもう一度叫ぶと病室をでた。
その間際、真浦は見た。いや、感じた。壁の染みから浮き出た死神がほくそ笑んでいることを……。
第18話につづく
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