リベンジの狼煙
鬼丸は動画配信の準備を整えると、大きく深呼吸を一回した。
「ゲリラ配信にも関わらず、既に多くの人が見てくれてありがとう。いきなりですが、今から一つ数秒で終わる映像を観てもらいたいと思います。観た後に、皆んなの意見を聞かせて欲しい。
これから流す映像に出てくる小学生は、母子家庭で育った小学4年生の男子児童。性格は大人しく、クラスでは陰キャラと呼ばれるタイプです。この児童に関しての情報はこれくらいにして、今から映像を流します。」
鬼丸はそれだけ伝えると、昔、イジメを告発するためにネットに投稿した動画を流した。
「ここで、今から皆さんに質問です。
『この少年は本当にイジメにあっている』
『頑張る母親を喜ばせるためのお金が欲しくて、意図的にこの動画を作った』
2択での選択なので、どちらかに投票してもらえると嬉しいです。じゃあ、今から30秒間、投票タイムとしますので、どちらかに投票お願いします。」
鬼丸は、投票を受け付けている30秒間、ずっと黙って行方を見守っていた。
そして結果が出た。
「投票してもらった皆さん、ありがとうございます。今、集計結果が出ました。結果は、『イジメにあっている』が95%、『意図的に作った』が5%でした。やっぱり、そうだよね。この動画を観たら、イジメにあっていると思うよね。実はこれ、8年前に俺が投稿した動画なんです。その時の投稿内容がこちらです。」
そうして、鬼丸は星田たちの名前が書かれた昔の投稿画面を配信動画にモザイク無しで見せた。すると、コメント欄には、『名前出てるけど大丈夫?』『この星田ってやつ、誰だ?』『さすがに、名前を公表するのはヤバイのでは?』といったコメントが溢れた。
「皆んな、心配してくれてありがとう。名前が載っているのは誤ってではなくて、意図的に見せました。昔、この投稿のせいで俺は全てを失ったけど、もしかしたら今回も同じ失敗してしまうかもしれない。でも、これでまた同じ結末を辿ったとしても、俺は後悔しない。8年前に何があったか話しても良いかな?もし、聞きたくない人はここで配信を見るのをやめてください。俺の声に耳を傾けてくれる人がいるなら、このまま配信を観てくれると嬉しいです。」
鬼丸は、ここで一呼吸ついた。視聴者数を確認すると、減るどころか配信始めた時よりも増えていた。
「ありがとう。じゃあ、少し長くなってしまうけど、話をさせてもらうね。話をしている間はコメントは一切拾わないけど許して欲しい。」
そう言うと、鬼丸は
昔、
そして、星田父からは名誉毀損で訴えられ、既に家計が苦しい中で重労働していた母親は俺のバカな行動によって請求されたお金を支払うために、寝ずに働くことになり過労死してしまったこと。
など8年前に起こり、人知れず暗闇に隠蔽された事実を世の中に発信した。
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