復讐実行
身体を引きずりながら家に帰った僕は、撮影した動画の一部を切り出した。
そして、SNSのアカウントを作成して先ほど編集した動画と文章を書いて投稿した。
文章には、
「第一小学校、4年1組の星田正人(ほしだまさと)、月野将兵(つきのしょうへい)、空島武(そらじまたけし)の3人が僕の事を殴ってきました。もう殴るのはやめて欲しい」
と書いた。
「よし、これで良し。明日、学校に行ったら怒られるかもしれないけど、これで殴られる事が無くなるなら。」
僕はネットの怖さは学校でもテレビでも見聞きしていたので、この動画を投稿したら何が起こるのかはある程度は分かっていた。でも、誰の助けも得られないこの状況で自分自身に出来る事は、これしかなかった。
僕は先ほどの投稿に続けて、
「僕は、星田を中心とした3人にいつも殴られていました。誰も助けてくれないから、悪いと分かっていても、この動画を投稿しました。」
そして、この投稿には身体中に出来た痣を映した写真を添えて投稿した。
また立て続けに、
「もしかしたら、この動画や画像のせいで僕は明日、職員室に呼び出されて怒られるかもしれません。でも、僕は後悔していません。もし、明日、投稿が無かったら先生に呼び出されてスマホを取り上げられたと思ってください。」
と投稿してスマホの電源を消した。
やってはいけない事をやってしまった何とも言えない快感は、僕を高揚させていた。恐らく、それだけでなく、星田たちに復讐できたという満足感もあったと思う。
でも一つだけ不安がある。それは、お母さんにだけは迷惑を掛けたくないという事。一生懸命、僕を育ててくれている母親だけは悲しませたくなかったから、もし僕が投稿した動画が炎上したら間違いなく母親を困らせることになる。
僕は、そうならない事を必死に願いながら眠りについた。
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