いじめられっ子の復讐

乃木希生

序章

「お前、生意気なんだよ。」

「もう、やめてよ。」

「うるせーよ、やめてって言われてやめる訳ないだろ。」

僕は、こうやって毎日クラスのいじめっ子連中にいじめられている。

本当は僕だっていじめられたくない。でも、僕の家は母子家庭で母親は夜遅くまで働いているため、心配を掛けたくない気持ちもあり、母親にいじめられている事を伝える事すら出来なかった。


そんな状態だったこともあり、僕は自分一人で戦うしかないと決意した。

翌日も学校に行くと、1時間目の休み時間からいじめっ子たちが僕の元にきて、消しゴムのカスをかけてくるなどしてきた。

そんないじめを我慢しながら、僕は唯一の友達にある協力をお願いした。


「なぁ、今日の放課後って時間ある?」

「うん、時間はあるけど、どーしたの?」

「実はお願いしたい事があって。」

「お願いって?」

「多分、僕は星田から放課後に体育館裏に呼び出されて今日もいじめられる。だから、遠くからで良いからいじめられている姿をこのスマホで撮影して欲しい。」

「いじめられているところを撮影すれば良いの?」

「うん、なるべく声も録れる所で撮影して欲しい。」

「いじめを止めなくて良いの?」

「うん、止めなくて良いよ。最後まで撮影を続けてくれれば。」

「分かったよ。でも、本当にヤバそうになったら助けに入るからね。」

「ありがとう。変な事をお願いしてしまってゴメン。」

「良いよ。」

「じゃあ、お願いね。」


そして、放課後まで僕は全ての休み時間で星田たちからイジメられた。そして、放課後も案の定、体育館裏に連れ出された。

「お前、本当に気持ち悪いな。見てるのも嫌になってくるから早く死ねよ。」

そう言うと、星田たちはまた何度も何度も殴ってきた。

「もう、やめてよ、痛いよ。」

「痛いよだってよ。弱いやつを見てるのもイライラするんだよ。」

そうやって言うと、また何度も何度も殴ってきた。殴り疲れたのか星田たちは、

「明日から学校来るなよ。」

と言うと、僕のランドセルを遠くに放り投げて帰った。


僕は激痛で身体を動かす事も出来ずにいると、友人が走って駆け寄ってきた。

「大丈夫?」

「あー、何とか。それより動画はどうだった?」

「うん、バッチリ撮れていると思う。ちょっと確認してみて。」

「ありがとう。」

僕はそう言うと友人からスマホを返してもらい動画が撮れているかを確認した。スマホには、星田たちの声と暴力を振るっているところがバッチリと撮影出来ていた。

「うん、バッチリ撮れてるよ。ありがとう。」

「どういたしまして。ちなみに、この動画をどうするの?」

友人が不思議そうに聞いてきたので、

「まぁ、ちょっとね。あいつらに復讐してやろうと思ってね。」

「そうなんだ。じゃあ、俺は帰るね。」

(あっ、俺と一緒に帰ってはくれないんだ。)

という寂しさを隠しながら笑顔で、

「うん、今日は本当にありがとう。また明日。」

僕は友人と別れた。僕も帰ろうとしたが、まだ身体中が痛かったので、もう暫くはここにいるしか無かった。

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