サイト完成

星田議員の会見は、質問も受け付けず秘書に全ての責任を擦りつけた印象のみを与えた結果となり、マスコミ各社もネットも批判殺到になった。当然、星田議員の事務所にも苦情の電話が相次ぎ、仕事を正常に行うことすら出来なくなっていた。


一方、鬼丸が提案したサイトは呼びかけから一ヶ月という超スピードで完成した。誰一人として給料もサイト売り上げの権利なども不要と主張し、ボランティアで対応してくれた。

鬼丸はサイト完成の報告と共に、どんな批判や逆境に立たされても必ずこのサイトを運用することを約束した。


サイト完成を公表した鬼丸は、今の世論の流れや自分に吹いている勢いを感じていたので、この先もスムーズに進むと思っていた。


しかし、世の中は甘くなかった。


サイト運用開始を宣言した直後、マスコミ各社や議員などは開口一番に批判し始めた。特に問題視されたのは『若者の更生』だった。

彼らの言い分は、『学生時代に起こした過ちを更生させる機会も奪いかねず、日本社会にとってこのサービスは成長を阻害する要因になりかねない。また、日本にある少年法の観点から見ても、一度の些細な過ちが一生を左右しかねない状況へと追い込むことは問題である』という事だった。


そして、とある番組で鬼丸と星田議員の両者がゲストに招かれ、このサイトに関する議論を行うことが決まった。今や日本中の全ての人が興味関心を抱いている論争という事もあり、収録ではなく生放送を求める声がテレビ局に殺到した。

プロデューサーも視聴率が取れると踏んだのか、急遽、生放送へと方向転換し放送枠も土曜の夜9時から11時までの特番形式へと変えた。


日本には2通りの人間が生活している。

イジメられた経験がある人間とイジメた経験がある人間だ。

鬼丸が星田議員を論破すれば、イジメられた人の勝ち。星田議員が鬼丸を論破すればイジメた経験がある人の勝ち。

そんな構図をテレビ局が作り出し、放送日に向けて世論を刺激し続けた。


テレビ局は番組の最後で視聴者投票を行うことを発表した。放送日までにアカウント登録を行い、投票権を誰でも手に入れることが出来るようにした。


完璧な舞台を整え、放送日を迎えた。

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