トカゲの尻尾切り
星田父は秘書から証拠作成に失敗した報告を受けて激昂した。
その上、鬼丸が追加配信を行い、秘書が脅しをしていた事実があからさまになったことで、秘書を罵倒した。
「お前は全く仕事が出来ないばかりか、俺に迷惑までかけるとは。今回の件、どうやって火消しを行うんだ?まさか、更に俺に迷惑をかけるつもりはないよな?」
星田父は秘書が取れる選択肢を具体的に提示はせず、相手が察するような言い方をし続けた。
「しかし、先生がどうにかしろと仰ったじゃないですか。」
「お前、俺に口答えするなんて、いい度胸してるじゃないか。秘書の分際で俺に意見するような奴はいらん。今すぐ目の前から消えろ。」
星田父は秘書を怒鳴りつけて、部屋から追い出し、第二秘書を呼び出した。
「先生、ご用でしょうか?」
「今からお前が第一秘書として動け。あいつはもうダメだ。」
「かしこまりました。」
「で、早速、仕事だ。当時の校長と担任を今すぐ、事務所に呼びつけろ。そして、明日の昼に会見するから、その準備もしろ。」
「かしこまりました。」
第二秘書から第一秘書として昇進した高田は、急いで諸々の準備を整え始めた。
高田からの招集を受けた校長と梨田が事務所に着くなり、星田議員が話を始めた。
「すでに二人にも実害が出ているかもしれないが、あいつをこれ以上、放置しておくと今以上に面倒な事になりかねない。だから、明日の昼に会見を開く段取りを整えているから、二人にも出席して欲しい。ちょうど今、身代わりとなる人物も出来たところだから、そいつに全ての責任をなすりつける。二人には、そいつから話を合わせるように強制されたという形にしようと思う。つまり、君たちは被害者という体裁が取れるように取り計らう。そして、そいつの責任だとしても、あいつに対する謝罪はカタチだけでもする必要があると思うから、頭は一緒に下げてもらうことになるが良いかな?」
校長や担任の梨田は、自分たちにこれ以上の火の粉が降り掛からないのならば、頭を下げるくらいは何の問題もないと答えた。
「よし、決まりだ。明日の13時から会見を行うから、必ず来るように。」
二人と話を合わせた星田議員は、再び秘書の田中を呼び出し、
「前任の第一秘書を自由にさせておくと何をされるか分からん。だから、いつもの処分屋に連絡をとって処理させてくれ。今回は急ぎかつリスクが高いから、支払いはいつもの2倍出すと伝えておけ。」
「かしこまりました。」
田中は星田議員から言われた通り、処分屋に連絡を取った。
「今日から私が連絡役をすることになった。早速だが、前任の連絡役の処理を頼みたい。クライアントからは、通常の2倍で今回は金を払うと言われている。」
「分かった。」
処分屋は、一言のみの回答をすると電話を切った。
その日、日本から一つの命が人知れずに消えた。
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