森山帖

その土地には、「少年の形をした死」が存在した。
少年は死者を導き、森へ行く。数多の生命と関わる中で、彼にとっての救済はいかにして生まれるのか。
山形県のモリ供養の風習、諸伝承を下敷きにした伝奇ファンタジーです。

第一話「刎頚之行」
寛政八年四月。又兵衛は二十両を盗んだ罪で斬首刑になった。
刑場で目を覚ました彼が出会ったのは、古めかしい衣を纏った少年。二人は連れ立ち、モリの山と呼ばれる小山に辿り着く。
安らかな眠りにつくはずだった又兵衛は、そこで「見えてはいけないもの」と出会ってしまう。
山形県鶴岡市の三森山にまつわる民話をもとに書いています。