第22話 戦い系

「すみません……」

俺はそう言いこじんまりとした小さい一軒家

の扉を叩いた。

ベディヴィアに言われた通りに来た。


「はいはい?」

老婆がそう言い、玄関先の明かりがつく。

木の扉が開く。


「ベディヴィアさんの……紹介で……来たんですけれども……」

俺は走ってきた。かなりの距離を。声がたどたどしくなっており、たまらず膝に手をついた。


「おやおや……とにかく家に入りなさい」

その優しい笑顔に思わずホッとした。

老婆に言われるがままにその一軒家に入った。


「それで……そんなに急いで何があったんだい……?」

小さな椅子に腰掛ける老婆。

その前には暖炉があり、その近くで休んでいる。


どう説明をしようか……?ランスロットの事を言うと色々と面倒な事にならないかな?

「色々あって……国から命狙われてるんですよ……」


「そうなのかい……大変だったね……」

そう言い笑顔で微笑む。


「俺の事、危ないとか嘘ついてるとか思わないんですか……?」


「あたしには分かるさ。あの娘が逃がしたのはそれなりの理由があるんだろってね。ほとぼりが冷めるまでゆっくりとしていくがいいさ。」


「信頼してるんですね……ベディヴィアさんの事……。」


「当たり前さ。何たって自慢の娘だからね。それに……」


「……?」


「あの娘はいい子よ。仲良くしておくれ。」


「あっ……はい……」


気付けば辺りが暗くなっていた。

がむしゃらに走って何が何だか分からないうちにようやくたどり着いた逃げ道。

他の人にはそう思われたって仕方がない。

俺には戦う力がない。守る強さもない。


何だか情けないな……

ミーちゃんに守られて

側から居なくなって。

ランスロットに守られて

側から居なくなって

今度は誰に守られるんだろう……

本当にこのままでいいのだろうか……


そんな不安が過る。逃げてばかりで戦いもせずに……俺はこれからどうすればいいんだろうか……


「今あなた、自分は駄目だって思ってない……?」


「えっ……どうして……」


「顔見れば誰でも分かるさそれぐらい。」


「このまま逃げ続けていいんでしょうか……?俺……」


「逃げる?何言ってるんだい。あなたは十分に戦ってるよ。」


「戦ってる……?どこがですか……俺は、誰かに守られてばかりでやっと成功したと思えば結局無意味で……。」

歯を噛み締めた。

心の奥から何か掴めないような複雑な感情が込み上げてくる。


「少なくとも1人は救ってると思うよ。

あなたと一緒で仲間から裏切り者として扱われて、酷い目に合わされたりされて。そんな中でも貴方は自分の意思で戦って救ったじゃない。」


「そんな人近くに居ないですよ……」


「いるんじゃない?もう一度自分に聞いてみて?よく考えてみて」

老婆はそう言い椅子から立ち上がり俺の肩を軽く叩いた。


「はい……分かりました……。」


……


「おい、パロミデス……てめぇは駄目だ。弱すぎる。さっさと魔法使ったらどうだ?」

ボールスはその大きな斧を肩に背負って立て膝をついているパロミデスを睨み付ける。


「ま、だだ……」

パロミデスは歯を食いしばり立ち上がろうとするが手がもつれて倒れてしまう。


「チッ……弱ぇ……時間の無駄だ……」

ボールスは前を向き門の方へと歩き出した。


【グングニル】


パロミデスは立ち上がり、そう言い言った。

腰を低く構え、握り拳を作り空中を叩くとそこにはひび割れたような魔方陣が浮かび上がる。

魔方陣からは巨大な槍のような物が半分近く飛び出てきており、その槍を握りしめる。

そして、体事投げ飛ばす勢いでその槍を勢い良くボールスに飛ばした。


「あぁん?まだ、立てッッ!!」

ボールスが後ろを向いた瞬間にはもう遅く、

辺りが光に包まれ砂煙を上げ大きな爆発音が響き渡る。

幸い大きな道の真ん中で民家への被害は少なかった。


「チッ……っぶねぇな……」

砂煙が晴れるとそこには倒れているパロミデスと左腕が吹き飛んだボールスが立っていた。

「片腕か……まぁいい、ベディヴィアぐらいなら片腕でぶっ殺せる。」


そう言いボールスは斧を担ぎ再び歩き出した。


「あんまり民家を壊さないでっていってるでしょ!」

避け続けるベディヴィア。


「そんな事言われてもパーちゃん分かんないもーん」

そう言い笑顔で人の人形をベディヴィアに向かって投げ続ける。


本当に面倒な魔法ね……

パーシヴァルの人形にはいろんな効果がある。

熊の人形は当たれば貫通。

ウサギの人形は近くの壁に飛ばされる。

亀の人形は動けなくなる。

そして……人の人形は……


「ダメだよ……気を緩めちゃ……」

パーシヴァルが逃げ回るベディヴィアの背後に現れる。


「しまっッッ!!」


「バイバイ、お姉さんっ。」

パーシヴァルが人の人形を近付ける。


突如として辺りに何か空気が揺れるような感覚が走った。

直後にパーシヴァルとベディヴィアが地面に叩きつけられた。

「うっ!いったぃ……何コレ……」


この魔法……まさか……


何者かがポケットに手を突っ込み暗闇の中から歩いてくる。

「駄目だよ。あんまりおいたをしちゃ。」


トリスタン……


「何でおっさんがここに……」


「んん?たまたま通りかかっただけだよ。その人形を味方に使うのは駄目でしょ。」


「うるさい!おっさんもッッ」

トリスタンがその言葉に被せるように重力を重くする。


「やれるものならやってみなよオチビちゃん。」


信也君……こっちは何とか助かったみたい……

信也君、ランスロットの為にも生き残って……



何てね……



これぐらいでいい刺激になったでしょう――








「見つけたぞ……裏切り者が……」

銀髪で長髪の男がその一軒家を遠くから睨み付ける。

「ランスロットが復活したと思えば貴様のせいで……この国をどこまで苦しめれば気が済むんだ……」

一歩、歩き出すと後ろから肩を軽く叩かれた。


「何者だ。」

とっさに後ろを振り向く。

「貴様はッッあの時の!!」


「いやぁ~、今はまだ早いんだよ。ここで信也を殺される訳には行かないんだ







にゃ――」













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