第14話 意味深系

何で……ミーちゃんは俺を……

最後の言葉はどういう意味で何を隠してるんだよ……

分からない。

分からない。

俺はどうすれば…いいんだよ…


布団を少しめくり上げる。それまで母が起こしに来ていたが今日は起こしに来ていなかった。


「あれ…いつもなら…母さんが…」


現実世界で永遠に繰り返されていた土曜日。

いつもならここら辺で母は自分を叩き起こしに来ていたが、今日は来ていなかった。


「って……事は……俺は……日曜日に……」

シトシトと布団が濡れる。何故か涙が溢れた。

ようやく…この誰かが死ぬ土曜日を過ぎたと思ったからだ。


信也はそれまで心が痛み引き裂けそうな思いだったが、今は何故か少し余裕が出来それはもう、やっとの思いだった。


信也は布団を出て、いつも通りのように台所へと向かった。

少し心が弾み前に進めそうな気がした。


「母さん!朝ごはん!」

そう言い台所の扉を開いた。


「……ッッ!」

その光景に信也は目を疑いとっさに座り込んでしまった。


そこには血の海に浮いている無惨な姿となった、母の姿だった。


「母さんッッ!」

すぐさま近寄る。体を揺すっても返事が返ってこずもう、どうやら息をしていなかった。


「あ、あ、あ、救…急…車…ッッ!」

まだ間に合う――

現実を受けいられず、そう考えるしか無かった。白い家電をとり119を入力する。

その時は気付いてはいなかったがやはり土曜日としっかり表示されてあった。


「こちら…東京都…」


「助けて!下さい!助けて!!早く!!来てくれ!!はっ早く」


「どうしたの!?でも分かった!状況と住所を教えてくれないか!?直ぐに向かうから!」


「い、家で、寝ていたら、知らない人が家の中で倒れてて!」

とっさに自分からでた言葉で我に返る。

あれ……

今は知らない人って……

何でそんな事言っちゃったんだ……

この人は俺の……大事な……


ガタンッ

電話を落とす。

「もしもし…!?大丈夫かい…!?」


この人は……


――誰だ…?


そして程なくしてから近所に救急車のサイレンの音が響き渡る。

救急車の中でその人を見つめていた。


「この人は…もう…」

1人の隊員が少しそう呟く。

脈が無くその場で死亡が確認された。


……


「あれは……一体……」


病院の椅子に腰を掛け頭を抱える。


知らない人が急に家で倒れててそれで…

俺は焦って、、、

後程警察も家に来るだろうし…


すると俺に1人の男が近付いて来た。

その眼鏡をし髪はオールバックの少し変わったその男は片手に水の入った紙コップを持っており俺にそのコップを渡して来た。


「大丈夫かい…?」


「あ、…すみません…ありがとう…ございます。」

俺はそのコップを受け取った。


「となり…いいかな…?」


「あっ…どうぞ…」


男は隣に腰掛けてきた。

「何があったんだい?」


「自宅で…知らない人が…倒れてて…」


「それは…大変だったね…」

「それに警察の取り調べも受けないとダメだね。」


その少し強面の男は顔とは予想をはんし優しい口調だった。

「元気を出しなさい!石のように!」


「石…ですか…」


「そうだよ。私はね、石が好きなんだ。」


「変わってますね。。。」


「そうかな…?まぁ…大人では余り居ないかもだね。」

「石は素晴らしいんだよ!固い自分の意思を見いだせる用な気がしてね!」


うわぁ……だじゃれ…めんどくせぇ…

「あ、あははは…」

少し苦笑いをした。


「まぁ、でも頑張りなよ信也君」

そう言い立ち上がり俺の肩を叩く。


「あぁ…はい…ありがとうございました。」


男は歩き出した後ろ向きに手を振りながら颯爽に姿を消した。


「変な人……」


それからかなりの時間、病院の椅子に腰掛けていた。

だが一向に警察が来なかったため、行っては

いけないハズだったが取り調べをしていた自分の家に向かった。


ガチャ

玄関の扉を開く

「あ、あの……」


するとそこには誰も居なかった。


「あれ…?警察の方々は…?」

どの部屋を探しても誰も居なかった。

信也は自室に戻り布団をかぶり目を閉じた。

どうしよう…

もう一度あの世界に戻れば…

ええっ…と…確か…


そうだ……ランスロットを……助けに行かないと……

ミーちゃんにも…聞きたい事は…いっぱい…あるし……


そういえば今回は……


誰も死なずにタイムリープしたな――



……


信也…


「おいっ!信也!!大丈夫か!」


「あ、あぁ…」


「良かった!一瞬焦ったぞ」


「それじゃな信也!私は王へバグダートの事を伝えてくる。また後日、そちらに使いを送る。たっぷりご馳走を用意しておくからな!」

ランスロットは手を振りながら笑顔で走っていった。


「……ミーちゃん」


「何だニャ…?」


「ランスロットが死ぬ……」


「何言ってるんだニャ…?」


「俺はタイムリープしてきた」


ミーちゃんが顔をこちらに向ける。

「信也詳しく聞かせてニャ」


「時間が無いからランスロット追いかけながらな!」

そう言い信也は走り出した。ミーちゃんも

信也を追うように走る。


「それで……何があったんだニャッ」


「色々謎が多いがとりあえずランスロットは反逆罪で捕まる」

そうか…俺が1番最初に宿屋で死んだ時は、俺とミーちゃんを反逆者の仲間だと思ってそれで俺が寝てる間に……


「分かったニャ、ミーちゃんに任せるニャ」


「お前にも色々後で取り調べをするからなっ」


何が何かさっぱり分からないけど……


とりあえず、目の前の事を一つ一つ…解決していければ……


何とか……真実に……


今度は俺の番だ


――ランスロット

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