第13話 本当の意味系

俺は…いつも誰かに助けられて…

俺は…いつも誰かに迷惑かけて…

俺は…俺は…


ハッ!!

ベットから勢い良く飛び起きた。

「戻ってないんだ…」

自分の手を眺めながらそう呟く。

おそらくミーちゃんがまた何かのクエストを受けたのだろう。


「おぉ…信也…起きたか…あれから夜までずっと寝てるなんて心配したぞ…」

木の扉をゆっくり開け、茶やパンを持ったランスロットが入ってきた


「その…昨日は…ありが…とう」

恥ずかしくてうまく顔を見ながら喋れない


「あぁ!」

ランスロットは笑顔で返事をした。

「さぁ、飯を食え!元気をつけろ!」


信也はそのパンや茶を一心不乱に食べ始めた。

「でも…良かったよ…少しは元気になってくれて…」


信也は盗賊の所からは記憶が飛んでいた。

「…ミーちゃんは…?」


「……」


「何が…あったの…?」


「信じられないかも知れないがアイツはお前を殺そうとしたんだ。」


「……そうか…」

何かを悟ったような顔をし下を向いた。


「私は少しこの家の外を見回ってくる。そこでゆっくり休んでくれ。」

そう言い立ち上がり部屋を出ていった。

この家は平原にポツンと一軒だけ建っており、周囲からは変わり者のじーさんが住む場所として認識されていた。


「信也…少し元気になってたな…良かったよ…」

ランタンを持ち家の周囲を歩いていた。

すると先からは無数の光が見えこちらに近付いて来た。


「何だ…?まさか…王宮の騎士団…」

さっと物影に隠れ影から様子を見守る。

「…どうする?…隠れきれるか…?」


その光は平原の一軒家に近付いてくる

一軒家からはあの老人が出て来て光の方へと進む。

老人と銀髪の男が喋っている。


……


多数の光は来た道を戻って消えていった。

老人が再びこちらに戻ってくる。

「ご老人!今の方々は…!」


ランスロットがすかさず聞く。

「王国の騎士様方が、ランスロット元王国騎士団長様を探してお出ででしたよ。」


「それで…何と…?」


「家にはそのようなご客人はお見えになっておりませんと。」


「本当に…ありがとう…ございます」

深くお辞儀をした。


「いえいえとんでもございません、ささ…外は寒いので中へ入りましょう。」


「そうですね…」

そう言い老人と共にランスロットは家に入っていった。


再び木の扉を開ける。

「信也…大丈夫か…?」


信也はランスロットに背を向くかの用に寝ていた。

「信也…私が守ってやるからな…」

そう小声で呟き近くの椅子に腰掛け目を瞑る。


……


何かに感づく用にランスロットが目を開けた。

「何だ…これは…」

部屋は霧のようなものに包まれていた。

するととっさに腕を口元に当てる。


「毒か…」

うっすらと見えた目の前には老人が立っていた。

「す、すみませんが私の…お金の為に死んでください!!」

老人は勢い良く包丁をランスロットの方に腹部に刺す。


「うっ…ぐっ…」

血を吐きながらもその包丁を持った老人の手を引き離し思い切り蹴飛ばした。

直ぐ様包丁を抜き捨てた。


「ご老人…貴方に罪は無い…短い…間でしたがお世話になりました…。。」

そう言い、寝ていた信也を担ぎ上げ壁を水の刃でぶち破り空中を飛び始めた。


「何で空中に居るの…俺…」

信也がうっすらと目を開け喋った。

「ランスロット!血がッ!」


「はぁ…はぁ…信也…私に任せろ…」

ランスロットは腹部を押さえながら今にも倒れそうにフラフラになっていた。


「何が任せろだよ…そんなんじゃ任せられないよ」


後ろから何かが勢い良く飛んでくる。

「ランスロット!後ろ!!」


「今度何…だッ…!」


明るく鋭いその閃光は信也の腰付近を少し掠めた。

ランスロットがとっさに軌道修正をしたからだ。

だが…


「信也…すま…ない…」

そう言い水の刃が溶けランスロットと信也は空中から平原に落ちた。


何か足音が聞こえてくる。

「ここに居たか、ランスロット」

それは銀髪の男だった。

「ガウェイン…貴様…これが目的…ッ」


「さぁ…帰るぞ」

その銀髪の男はランスロットの髪を持ち上げ顔を近付ける。


「…ふざけるな」

近付けた顔に唾をかける。


「強情は捨てた方がいいぞ」

そう言いランスロットを投げ飛ばす。


「信也…すまない…私は…やはり…無力。」


「ランスロットに何しやがるッ!」

必死に立とうとするがうまく立てない。


「あっ…足が…」

信也の右足が先程の閃光で消し飛んでいた。

それを見ると共に激痛が体に響く。

「あぁぁぁぁぁあ!!痛い痛い痛い痛い」


「信也…」

ランスロットが手を伸ばす。

「私はお前を守り抜くからな…」


ランスロットと信也はお互いの手を握った。

さっきまで痛かったハズがランスロットの手を握った瞬間にどこか痛みが和らいだ気がした。


「茶番はもういいか」

銀髪の男はランスロットの方へと歩いて行く。


すると突然、天空から巨大な円型の光がカヴェインとランスロットを包み込む


「何だ…ッ!これはッッ!!」

カヴェインは光の中へと消え去り…


「信也…この手を離さないでくれ…」


「何だよ…この光は…」


「信也…」


「何なんだよこれは!何で俺も一緒に殺してくれねぇんだよ!!」


「そんな事を言わないでくれ…お前は生きて生きて生き抜け…」


徐々に体が消え去っていた。

「ランスロットッッ!」


「…ありがとう」

そう言い残し光と共に消え去った。


残ったのは信也を握っていた腕だけだった。

「ランスロット…そんな…そんな…」

信也はその腕を握りしめ泣き出した。


光の後に翼の生えた何かが空中からこちらに舞い降りてきた。

「信也…やっと会えたね…」


「ミーちゃん…」

ふと見上げるとあの見覚えのある顔だった。


「何でランスロットも一緒に殺したんだよ!?」


「手加減出来なくてね」


「そんな…そんな理由で…ッ!」


「信也…大丈夫…救ってやるよ今すぐに」

そう言いミーちゃんは信也の頭上に光の刃を出現させた。


「何なんだよッッ!、何があったんだよ…!」



ミーちゃんは手を広げた

「この世界線じゃダメなんだ…だから変えるんだよ」


「何の話だよ…」


「私はね信也のが大好きなんだよ」


「何を…」


「ごめんね…これ以上は言えない…だけど…これも信也の為なんだ…」


「訳わかんねぇよ!何を隠してるんだよ!」

ミーちゃんは光の刃を信也の頭上に振り落とす。


ごめんね…信也…


タイムリープしてまた…







私を楽しまさせて――

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