第19話 黒幕――

「ミーちゃん戻ったよ……」

俺が戻ったときには既に日が登り朝を迎えていた。


「信也……ようやくだにゃね…それで!?

何か分かったのかにゃ…?」


「調べたよ、考えたよたくさん…色んな事を……

でも……

この世界の黒幕は……

ランスロットだ……。

何で何で何で何で…くそっ…くそ……ランスロット……」


「信也……

そうだったにゃね……やっぱり……

でもどうするにゃ……?奴は強いにゃよ。」


「ランスロットに嘘を他の円卓の騎士に真実を伝える。バグダートの件を組み合わせて。」


「組み合わせる…?どうゆう事にゃ?」


「竜化の原因はトリスタンにあると、そうすればランスロットはトリスタンを疑い、うまく作戦に入り込んでくれるって……」


「結局何が分かったんだにゃ…?」


「今はまだ言えない…だけどミーちゃんにも協力してもらいたいんだ…」


「任せるにゃ!!ミーちゃんは天使にゃよ!!いつでも信也の味方だにゃよっ!」


信也は扉の方へと歩き出した。

「んじゃ俺はランスロットにこの事を言ってくる…

もしかしたら作戦会議が行われるかも知れないからな…その時はまた呼びにくるよ」


「分かったにゃ……無理はしないでくれよ……信也……」


信也は扉を閉めて部屋を出る。

「良し…後は…」


これは一か八かの大きな賭けだ…

もし俺の推理が間違えば

友人を1人殺してしまう事になるかも知れない……

でもなミーちゃん……俺は……

絶対に辿り着く……

待ってろよ……

そして…

嘘でいてくれ――


「トリスタン」


「おう何だ坊主。」


信也はトリスタンを2人っきりで広場に呼び出した。

真剣な表情をしている。何かの固い決意がそこにはあったのかも知れない。

「話がある」



……


ミーちゃんは1人で寝室に居た。

「信也は一体何を……推理…?まさかそんな事は無いにゃよね……

信也……私は信じているから……」


バンッ

勢いよく扉が開く。

信也だった。

「ミーちゃん!作戦会議!行くぞ…!」


ミーちゃんは覚悟を決めたような顔だった。

「分かったにゃよ。。。」


廊下をひたすら歩くと突き当たりなは

大きな両開きの扉が見えてきた。


信也は唾を飲む。

「ここから先は真剣に行かないとね…ランスロット……何でだよ……」


「分かってるにゃよ……」


信也は扉を力一杯に開く。


そこは1番最初に来た会議室であった。


「おぉ…連れて来たか…それじゃぁ席に着いてくれ。」

ランスロットはこちらを向き手を振る。


俺は席に着きミーちゃんは俺の膝上に乗った。


「とりあえず、

トリスタン討伐に参加するメンバーは

ガウェイン

パロミデス

ベディヴィア

そして私の4名の円卓の騎士が参加する事になった。

ボールスにチームプレーは向いてないし

パーシヴァルにはめんどいって断られた。

まぁ円卓の騎士4名がいれば十分だろ?」

ランスロットは信也に問う。


「あぁ……それにあの事は伝えてる?」


「抜け目なしだぞ!」

ランスロットはグッとサインを出した。

「それに皆、お前の事を信用している。

大丈夫だ。お前は1人じゃない……」


「ありがとう……でもガウェインさんが参加するのは以外だったな…」


ガウェインは腕を組み鼻で笑う

「俺はただ、正義に全うなだけだ。」


「大丈夫だぞ信也。この男は義理堅い、味方になれば裏切る事は絶対に無い。」


信也は少し苦笑いをした。コイツの記憶がよみがえったからだ。

「パロミデスさんとベディヴィアさんもよろしくお願いします。」


「よろしくな!」


「よろしくお願いしますね」


ランスロットが口を開く。

「それでは作戦会議を始める。」


「まず最初に信也がトリスタンを2人っきりで呼び出した時に伝えた事があるよな?それを言ってくれ。」


信也は席から立つ。

「んじゃ作戦を説明します。…」


今回の作戦はこうだ。

俺がトリスタンを千年樹の森林に呼び出す少し手伝ってほしい事があると言って。時刻は夕方。

円卓の騎士達にはその後ろを着いてきてもらう。ミーちゃんは少しの間人間の姿になり魔法が使えるのでミーちゃんに気配を消す魔法を使ってもらう。

森林の中心付近へ行けば逃げ場も無く隠れたりも出来ないのでそこで俺が合図を送り

ミーちゃんが魔法を解き


トリスタン

ガウェイン

パロミデス

ベディヴィア

ミーちゃん(天使姿)


の強力な5人で囲う。そこで俺がランスロットに真実を確かめる。

ランスロットはトリスタンが囲まれると思っている…だから自分が囲まれるのは想像出来ないだろう…


俺の推理が

正しければその場で力ずくで捕らえる。

違っていれば俺が牢に入る。


そう言う条件で皆は承諾してくれた。


トリスタンには悪役をしてもらう。

エンターテイナーってそういう物だと思う。



そして……


馬車の音が静かな高原に響く

「坊主。手伝いって何だ?千年樹つく頃には日が暮れるぞ?」


「えっ…と…いやまぁ……ちょっと竜化事件の手掛かりを探してるんですよ」


「ほう…まぁ何隠してるかは知らんが俺で良ければやってやるよ…」




ここに来るのは久しぶりあのランスロットととの出会い以来か……

嫌な思いでもあるけど…

やっぱりここから始まったような気がする。

俺にとっての特別な場所で全てが決まる…。

真実を…!


トリスタンと俺は2人で森林の内部へ進む。

途中に後ろがガサガサしたが恐らくトリスタンは気付いた上で乗っているだろう……


「まだ行くのか…?もうそろそろいいんじゃないか?」

トリスタンは立ち止まる


「いいって……何が…?」


「坊主。隠しても無駄だぞ…?」

トリスタンは手を広げる。


「さぁ来いよっ!俺はエンターテイナーだぞ!?」


信也はたまらず叫ぶ。

仕方がない……

ここで決める…ッッ!

「今だぁぁぁあ!!」


音もなく凄いスピードでその5人が1人を囲う。

それは一枚の葉が落ちるよりも早かった。


「これでいいんだな小僧……」

ガウェインが剣を向ける。


信也は少し頷く。


「信也……コレがお前の答えなんだな……」


「あぁ……すまない……」

黙ってソッと歩く。


「…何知ってるか話してくれないか…

黒幕……

いいや……」


















――ミーちゃん

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