第8話 笑顔になりたい系

「ミーちゃん…」


「ヤバいにゃよ、信也…」


どうする?どうすればこのピンチを切り抜けられる?

また死ぬのか?

でも死ぬのは嫌だ、、、

大事な人を失いたくは無い…

逃げる…?

でも逃げられるのか…?

逃げ切れるのか…?


「信也!!」

途端、ミーちゃんが俺に叫ぶ。


「3つくらい方法があるにゃよ!」


「方法…?」


ミーちゃんはコクりとうなずいた。

「1つ目は、私が囮になって信也が逃げる。

私は一様、少しは天使の力を使えるにゃよ。囮くらいにはなれる。」


「それじゃ…ミーちゃんが」


「2つ目は、信也が死ぬ事」


「それはもうアウトでしょ。方法じゃ無いじゃん…」


「そして3つ目は…

彼女を助ける事」


「助ける…?どうやって…?」

ランスロットはすでに竜化をしている…

どうやって助けるんだよ…

しかも俺なんかに出来る訳無いでしょ…


「何で封竜石って呼ばれてるか知ってる?」


「竜の力を封印するため…?」


「そうにゃよ。今、竜の力は解放された状態だにゃ。どうやって助けるか?愚問だにゃ。」


「そうか…竜の力を…」


「石に戻するんだにゃ」


「でもどうやって!!俺には無理だって!ここは2人で逃げれば何とかなるかも知れない!」

そうだ…ミーちゃんが後ろを警戒しつつ逃げれば何とか逃げれるかも知れない…

俺は一般人だ…俺になんか何にも出来やしない。。。


「信也…いいかにゃ…?」


「早く2人で逃げ…」


バシッ!

ミーちゃんは俺の頬を殴った。


「確かに信也、お前は一般人だにゃ。

でもそれを言い訳にするのか?

誰だって最初は一般人で普通だよ。

逃げる為の言い訳は作るなよ。

信也!戦え!

怖い、逃げ出したい!誰にだってそんな時はあるハズだ!

私を信じろ、信也。恐怖に打ち勝て!

彼女はが助けるんだ!!」


俺が助ける…?

「俺にそんな事…出来…」


「出来る出来ないじゃない!」


そう言うとミーちゃんはその優しい肉球で、さっき殴った俺の頬を掴んできた。

「やるの…?やらないの…?」


俺に…一体何が…

母やじいちゃん…家族の顔が頭に浮かぶ…

怖い、逃げ出したい、

でも…

でも…

あぁクソっ!

「やればいいんでしょ!!」


「それで良しにゃ!」

ミーちゃんは笑顔になった。


「それで…どうやってするの」


「竜の眼球に傷をいれる

これだけにゃ。」


「本当にそれだけでいいの…?」


「私を信じろ信也にゃ」


「俺は何をすれば…?」


「走って竜に向かうだけでいいにゃ」


「ちょっ…それは流石に怖っ」

トンッ

ミーちゃんが俺の背中を押した。


「行け。信じろ。信也にゃ」


「あぁぁぁもう!死んだら恨むからな!」

俺は全速力で竜に向かって走っていった。


竜は走ってくる俺に向かってその鋭いツメを振りかざした!

「うわぉぉぉあおおおお」


【空間断裂】


竜のツメは俺の頭の上で凄い音をたて止まった。いや、正確には止められてるといった所か…

良く見るとドーム型の空気の塊が俺の頭上に出現していた。

「うわ…すげぇ…」


「早くいくんだにゃゃゃゃあ」


「あぁ…ごめんなさいぃぃぃい!」


俺が通り過ぎると空気の塊が割れ竜のツメが振り下ろされた。


竜はその巨大な尻尾を回し蹴りの用に振り回した。


「ミーちゃんッッッッ助けてぇぇぇえ!」

叫びながら走った。


【反射】


ミーちゃんが呪文を唱えたと同時に俺は尻尾に投げ飛ばされた。

反射的に目をつぶった。

「いたッッッくない…あれ…?」


目を開けると竜の顔の目の前の空中に居た。

拳を伸ばせばギリギリ届く範囲だった。

「信也…!!そのまま行けにゃぁぁあ!」


「うぉぉぉおおおお」


そうだにゃ…行け…信也…

私を絶望させないでくれ。

君は一般人…

それでもって勇者何だから…!


良し…!

当たった!!


グァァァァア!!

竜は目を自分の手で押さえつけた!


「やったぞミーちゃ!!」

竜は暴れだしその腕が俺の腹部に直撃した。


【反射】


俺がそのまま吹き飛ばされたらミーちゃんの元に戻っていた。


「何この魔法…」


「この魔法はにゃ。ダメージを食らった瞬間に自分の半径100m以内だったら好きな場所に飛ばせると言う便利なミーちゃんお気に入りの魔法だにゃよ!」


「へぇ…」


「それに見ろ信也…竜が」


グァァァァア!!

竜の体はみるみると目に吸い込まれていくようにして静かな音と共に消えていった。

竜が消えた後には横たわったランスロットと封竜石が落ちていた。


俺とミーちゃんはランスロットの元に走って駆け寄った。


「すま…ない…信也…私の…不覚で…」


「大丈夫…?」


「問題…無い…すまんが…少し水をくれないか…」


「まってろ!今すぐ汲んでくる!」

俺が立とうとした時にランスロットが俺の服を少し引っ張った。


「どうしたの…?」


「…ありがとう」


俺とミーちゃんは2人で近くの水を汲みに行っていた。

「信也、」


「はい…?」


「ランスロットは何て言ってたの?」


「水をくれないかって」


「そこじゃ無いにゃよ」


「ありがとうって…

でも俺じゃ無くてミーちゃんが」


「信也」


「…」


「ありがとうにゃ」

ミーちゃんの笑顔と共に少し風がなびいた。


「うん…!」













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