第16話 近付く真実系

「何でか…理由を教えてくれないか…?」

信也は恐る恐るランスロットに問う。


「古来より……」


「何コソコソしてんだてめぇらぁぁあ!!」

ボールスが議席から立ち上がり勢い良くこちらに飛んできた。


「いい…俺が…処刑してやる」

ボールスは片手を少し上げるとその部屋の天井まで延びる炎を出現させた。


ランスロットは水の刃を空中から作り出す。

「貴様は1度でも私に勝ったことがあるのか?」


「今日勝って今日殺す」


「信也……下がっててくれ」

ランスロットは横に手を振る。


「あ、あぁ……」

信也は数歩下がりその光景を見守る。


両者が一歩進むと光速のようなスピードで互いにぶつかり合おうとする。


「は~い、ストップッ!」

両者の間にパーシヴァルが入り手を叩くと両者の魔法が解け空中に静止した。

「今は国王様が居るから、こういうのは別の場所でやった方がいいと思うよ~」


「チッ…クソガキが…」

そう言いボールスはポッケに両手を突っ込みその場から瞬時に消えた。


「ごめんね~あの子いっつもあんなんだからさ~許して上げてね~」

パーシヴァルは俺の方をにこやかに笑顔で向きそう言った。


「この件は証拠不十分により保留とする」

アーサー王が立ち上がり皆にそう告げる。


ガウェインがとっさ立ち上がる。

「待って下さいっ!この紙が何よりの証拠じゃないですか!!」

ガウェインは焦ったように紙を王に見せる。


「なぁ、パーシヴァル…あの紙には何て書いてあるんだ……?」


「んーっとね、あれはバグダートの日記の一部でね、[竜化の実験にはランスロットが協力する事になった]って」


「そんなのデタラメだっ!!」

ランスロットは手を振る。


「パーちゃん知らないもーん。」

パーシヴァルは腕を後頭部の後ろで組む。


「皆の意見も聞こうか」

アーサー王が皆に問う。


「俺は~この猫の正体が知りたいだけ何でどっちでも構いませんよ」

トリスタン卿


「何故だ!?しっかりとした、証拠があるではないか!?」

ガウェイン卿


「パーちゃんもどっちでもいい~」

パーシヴァル卿


「ランスロットさんがそんな事するはず無いだろガウェイン卿!!」

パロミデス卿


「それに、その証拠が本当かどうかも分かりませんしね」

ベディヴィア卿


「判決を下す。

処刑に反対2、賛成1、中立2によりこの一件は保留とする。

これにて閉廷っ!!」

アーサー王がそう叫ぶと天井の時計が元の普通の天井に戻りシャンデリアが出現し、青ぐらいライトが消え、床が議席の場所と一致し

会議室のような場所に姿を変えた。


パロミデスがランスロットに走って近寄る。

「良かったですね!ランスロットさん!」


「あぁ…すまなかったな…でもお礼は…」

ランスロットは俺を指差す。

「そこに居る私の友人に言ってくれ。」


「ありがとう!君!ランスロットさんを助けてくれて!」

パロミデスが俺に勢い良く握手をしてき、上下に振る。


後ろにトリスタンが通り耳元でささやく。

「この猫……天使だろ……」


信也はその言葉を聞き、後ろをパッと振り替える。

「何で…それを…アンタが…」


「いやいや、直感だよ」


「この猫返してやるから、ちょっとついてきな」

そう言い少し笑いながら歩き出した。


「トリスタン…何のつもりだ!」


「いやいや、別に何するとかじゃねぇから大丈夫だよ。それじゃ行くぞ坊主。」

トリスタンは信也の首元の服を引っ張り何処かに歩いて行った。


「ランスロットさん…あれ行かしといて大丈夫何ですか…?」


ランスロットは顎に手を当てる

「チッ…めんどくさい事になりそうだ…

よりによってトリスタンに気付かれてしまうとは…」


「……?」

パロミデスは不思議そうにランスロットの顔を覗く。


「ここは図書館…?」

そこには膨大な量の本が棚に納めてあった。


「こっちだ坊主。」

トリスタンは近くの本を取ると本棚が動きだし地下へと続く階段が出現した。


トントン

地下階段に2人の足元が響く。

「こんな所、部外者の俺に見せて大丈夫何ですか?」


「あっ?あぁ…大丈夫大丈夫」

歯切れが凄く悪い。


「所で君は何でランスロットを助けようとしたんだい…?」


「いや、まぁ…借りを返す為ですかね。」


「何の借りを?」


タイムリープの前に助けられた何て言えないしな……

何て説明しよう…


「バグダートがランスロットを竜化させて自殺したんですよ…それで俺達が助けて仲良くなって…

まぁ何て言うか…友人だから…ですかね…」

信也は少し照れ臭そうに頭をかいた。


トリスタンは無言でこちらを横目に見つめる。

「どうかしましたか…?」


「ん、あいや、何でもない」

階段を下り少し歩くと扉の用な物が見えてきた。

「この先だ」


扉からは冷気のような物が外に溢れ出している。

トリスタンは何処からともなく鍵を取り出し、その鍵で扉を開ける。

「ほら、見てみろ坊主」


「こ、これは……天使…」

そこにはクリスタルに囲まれた干からびた天使の姿があった。

そのクリスタルの前にはかなり綺麗な1冊の本が保管されてあった。


「ここは一体何の…」


「その本の244pを読んでみろ」


俺は近付き、本を開ける。

そこには日本語でこう書かれてあった。


夢 現

を 実

現 を

実 夢

に に


「これって……ど、うゆう…事」

信也は目を疑う


「坊主。その言語が読めるのか」


「やっぱりか……」


トリスタンは俺の顔の耳元に口を近付ける。

「お前……」









――夢の世界から来ただろ?

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