繰り返される〜華見〜

平成が終わる頃、令和が始まる直前の日本。

この国では、春前になると、SNSやニュース番組を通じて『ある事件』が話題となる。

平成二十六年。 東京都北区にある飛鳥山公園で、一人の男性が惨殺死体が発見された。その死体は桜の木の下で、桜の花びらにまみれていた。

死体の損壊は激しく、頭、体、両腕、両足は切り離され、体からは贓物が抜かれ、無造作に身体の周りに散らかっていた。

それから今日に至るまで、毎年のように日本各地の桜の木の下で、惨殺死体が見つかるようになった。 共通点は以下の三つ。

――被害者は男性のみで、表向きな彼らの共通点は雑誌にモデルとして載るほどの二枚目であること。

――死体はいずれも桜の木の下で、花びらにまみれており、毎年開花の宣言があった日にだけ起きている。

――…続きを読む