宿命か運命か~み~
「とうさん! あ! やっぱりここにいた! 次に帰ってきたら、遊んでくれるって約束だったろ!」
「こら、まーくん。ダメでしょ! あなた、ごめんなさい」
緊張の糸で張り詰められた部屋が、小学生くらいの頬に絆創膏をつけた男の子と、後を追うようにして入ってきたどこか幸が薄く、
いつも冷静な
それは
「まーくん。だぁめじゃあなぃかぁ、ここは入って来ちゃあ。いつも言ってるだろぅ」
普段の
「なにあれ」
その質問に、純次が黙ってプロジェクターに映し出された画像を指差した。
「……。あー、このグロいのを息子さんに見せたくなくて、誤魔化したのか。大きい声を出して、自分にだけ集中させて、その隙に連れ出すとは、見事だね。それにしても、さすが目の付け所が親らしいね。じゅんさん」
部屋の外から叫び声にも似たふざけている
「純次さん。お久しぶりです」
「お、おう。久しぶりだな。
「お変わり……、ないようですね」
「そっちもな。げ、元気そうで何よりだよ」
「えぇ。お陰様で」そう応えた女性は、どこか寂しげな表情を浮かべている。
少しの沈黙の後、静かに部屋の扉が開かれ、そこから顔を出した
「食事にしませんか? 私ではもう抑えられ、ぐまむぅまぁわぁぁあー!」
扉が勢いよく閉められ、また部屋の外では声が響いている。
――
「あの子ったら、お父さんが帰ってきて嬉しいんだわ。いつも寂しい思いさせてしまっているから」
「
純次と
一度抑えた狂気が、
「こいつらは、俺から全てを奪ったこいつらは、俺の手で必ず……」
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