宿命か運命か~む~
「まだ少し肌寒いですが、みんなで庭に出ませんか?」
まーくんが食事を終えた頃、
元々、窓際にいた純次の隣まで移動した
「
「あはは! まーくん、力強いなぁ」
晴れ渡る春の夜空には数えられない程の星が浮かんでいる。都会から少し離れただけでも、まだこれほどの数の星を観ることが出来る。
過去に純次と
「まーくん。この空にはね。ある秘密が隠されているんだ。それがまーくんには分かるかな?」空に指を差した
「え! なに! なに、なに! 全然わかんないよ」
「全然、考えてないじゃん! ほら、まずは空を見て、星をよく見るんだ」
「いいかい? あの辺りの星は他の星と比べて、強く輝いているんだけどわかる?」
「……うん」
「あの星をこうして繋げると、ひしゃくに見えない?」
「……? ひしゃく?」
「あー。スプーンだね」
「見える!」
「よし! それがしっぽだ」
「え? しっぽ? しっぽって動物の?」
「そう! これをこう伸ばして、ここと、ここを結ぶと……」
「……いぬみたいな、動物っぽいね」
「これはね。熊なんだ」
「え! 熊なの? 全然見えないよ」頬っぺたを膨らませるまーくんの頬を人差し指で押し込み、「まぁそうだよね」と
「まー坊。あの熊にはな、子供がいるんだぜ」後ろから純次の声が、話を続けた。
「え! どこ……って、嘘じゃないよね」まーくんは疑いつつも、気になって仕方のない様子。
「嘘じゃあないぞ。なぁ……
「ははは。そうですねぇ。純次の言う通り、この星空には子熊が隠れています。良い子には見えるかもしれないですねぇ。まーくんは良い子かなぁ?」
「えー! そんなぁ……あらぁ。おしえて、おしえて!」
「仕方ないなぁ。さっきの熊の位置は大丈夫だね? その上に視線を動かしてごらん」
「ん!」
「力んでも、見やすくなったりしないぞ」純次はからかうように、茶化した。
「もう、じゅんさんは黙っててよ」
「はいはい」
「熊の上に、輝く幾つかの星を繋げていくと、さっきのスプーンみたいな形になるのがあるんだけど……」
「……」
「……」
「……あ! わかった!」
「すごいな! どれどれ」
「あの凄く光ってるやつから、こうつなげると」
「そうそう! そうだよ! すごいなぁ。良く見つけたね」
「だろ! ぼくはパパの子だからね」鼻高々に腰に手を当てて、自慢するように
すると、毛布を腕いっぱいに抱えた
「はは。いい家族だね。じゅんさん」
「そうだなぁ。俺も結婚すっかなぁ」
「そうしなよ。僕に構うことなく、いつでもね」
「あら。てめぇ!」
「まだまだだな。あらぁ」
「う。大人げない……さっき食べたもの出ちゃうよ」
悶え苦しむ
「え。あれ、言ってませんでしたっけ? 先月ですよ」
「そんな直近の話だったのか」
「2月頃。雪が降ったのを覚えていますか?」
「あ。あぁ。あの時か。都内も大混乱で大変だったからなぁ。よく覚えているよ」
「あの時、私達家族はここにいたんです。その時に見たこの庭の美しいことと言ったら、最高でしたぁ。ピンと来たんですよね。これ以上の家に出会えることはないだろうと……」
「そういえば、付き合う前の
「そうですね。でも、それは
「意外と、頑固だよな」
「そうかもしれませんね。頑固かもしれません。家を見に来たときに決めたんです。ここに
「いいじゃねぇか」
「じゃあ、その次の年には、また僕たちも呼んでよ」復活した
「かしこまりやがって、あたりまえだろ。友達なんだからよ」
「そりゃあ、当たり前だよねぇ。お金もらってるし」
「あら、お前。それは言わねぇ約束だろうが!」
「知らないよ! そんな約束!」
「あらぁ。パパはね。いつもお仕事頑張ってるから、大変なんだ。でも、僕じゃ力になれないのはわかってる。だから、疲れてるパパを何かあった時には、守ってあげて欲しいんだ」
「そっか。
「うん! 依頼する!」
「よし! 頑張る
繰り返される〜華見〜 ニコラウス @SantaClaus226
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