冒頭の衝撃的な血濡れの手術室から一気に魔術の世界へ引き込まれました。
繊細な筆致で描かれる魔術世界は非常に緻密に構成されており、本当にそんな理論がこの世の裏側にあるのではと想像してしまいます。
主人公の四宮椿は人格的に問題があるとされている人物ですが、物語の上ではこの上なく魅力的な人物でした。傍若無人な傲慢さ、でも天才。好きならずにはいられませんでした。同じく主人公である相棒の市ノ瀬咲良との掛け合いも小気味良く、楽しいものでした。
ミステリーは常に予測できず、新たに増える謎に頭を抱え、衝撃の展開に一瞬呆然となります。息もつかせぬ幻想ミステリーでした。