死ぬけど君と恋したい

　浅久野命（あさくのまこと）にはヘンテコな呪いがかけられている。

「好き」と言ったら死ぬ呪い。

　それは中学の頃に突如現れた、ピンクのベレー帽に同色のレインコートを着た見知らぬ少女によってかけられた。

　以来、誰も好きにならなくなった命だが、転校生の海付結（うみつきゆい）と出会ったことでこれまで失くしていた気持ちを取り戻していく。

　二人は徐々に惹かれ合うのだが、結にも命と同じヘンテコな呪いがかけられていて、互いの心は水と油のように、なかなか混ざり合わずにいた。

　命はそれでも、死ぬけど、結と恋をしたかった。