第11話
「それから半年は病院にいたけど、本当に地球が滅びるって分かったら父に強制的に退院させられたよ。
父はそのまま働き続けてお金を貯めて、2ヶ月前に1人で火星に旅立った。
だから、居場所が欲しくて僕は学校に来たんだ。これが学校に来た本当の理由。」
壮馬は、俯いたまま言葉を並べていく。
「それで、僕はお金が無いから、家にある僅かな食材で食いつないで来たんだけど、もうそれも尽きちゃったんだ。
そのせいか、最近、余計に調子が悪いんだよ。でも、お金がないから、治療はしてもらえない。
それに、この世の中じゃ病院がまともに機能しているかどうかも分からない。」
だから、あんなに小さなお弁当を持っていたのか……。
「じゃあ、うちにおいで!! 」
「着いたよ。」
強引に壮馬を手を引いて、連れてきてしまった。
「え、大きいんだね……。」
「まあ、農家だから土地は広いね。」
「農家……。」
鍵を開けて中に入る。
「適当に寛いでて。」
「えっと、ご両親は……? 」
「あー、いないよ。」
明るく繕って答える。
料理をするために、キッチンに入ってエプロンを締める。話しながら着々と準備を進めていく。
「小さい頃に事故で亡くなってね。それから親戚中タライ回しにされたの。最終的にこの家……叔父さんの家に来たんだけど、今こんな状況じゃん?
野菜って貴重な物になったんだよ。」
地球が滅ぶことが分かってから、仕事を投げ出す人が大勢でた。そのせいで、食べ物の供給が追いつかなくなり、食料、その中でも特に野菜の値段は爆発的に上がった。
「だから儲かって、叔父さんは自分の奥さんと子供だけ連れて火星に行ったよ。
残されちゃったけど、食べ物には困らないからいいかなって……。」
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