全ての時を君に捧ぐ

三咲 幸

残り半年

プロローグ

『─本日、あと一年で地球が滅びることが発表されました。』

 そんな声がテレビから聞こえてきたのは半年程前の事だ。

 世間は、新学期を迎え、春の暖かさで心がふわふわしていた頃だった。


 またどうせ、ガセネタだろう。

 こんな話は嘘だ。まだ地球は大丈夫。


 その時は、大半の人がそう思っていた。

 しかし、時は流れ半年後、秋も深まり寒さを感じるようになってきた頃。

『地球があと半年で滅びることが判明した』

 そんなニュースが流れた。

 それと同時に、地球が滅びた後の人類の移住先は火星に決定したという話も出てきた。

 全世界が力を駆使して、移住の用意を進めた。

 その間、人々は大慌てだ。

 あと半年、どうすれば自分は助かるのか。

 あと半年、自分は死んでしまうのか。

 皆、恐怖や不安に震えていた。


 そこに、ある希望が登場した。

 誰でもお金を払えば乗ることが出来るロケットだ。

 ただし、そのチケットは高額で、とても手が届くような代物ではなかった。

 移住の準備が整ったら、お金を持っている人たちは順に火星へと飛び立った。


 地球に残された期間は2ヶ月。

 まだ、多くの人々が地球に残っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る