第6話

 壮馬を連れてきたのは、体育館。

「運動、して大丈夫? 」

 今更ながら、確認をしてみる。

「あんまり激しくなければ大丈夫だよ。

 でも、やったことはないからできるかは分からないけどね……」

「そっかそっか。

 私、バスケしかできないんだけど、いい? 」

 昨日のうちに用意しておいた、バスケットボールを拾う。

「バスケかー、できるかなぁ。」

「きっとできる! 大丈夫だよ! 」

 不安そうな壮馬に、「はいっ! 」と一声かけて、ふんわりとボールを投げた。

 弧を描いたボールは、壮馬の腕の中へと収まった。

「そのままドリブル! 」

 用意してたもう一つのボールを取り出して、ドリブルをする。そんな私を見て、見よう見まねで壮馬もボールをつき始める。

 恐る恐る。

 戸惑いながら。

 ゆっくりと。

「前へ進んで。」

 ゴールリングへと向かって、ドリブルをしながら進む。ゴール下に着いたのを見て、

「シュート! 」

 私に続いて、壮馬もボールを放る。

 しかし、シュパっと軽快な音を立ててネットをくぐったのは一つだけ。

 もう一つは、降板に跳ね返され、壮馬の顔面に命中してしまった。「へぶしっ! 」と謎の声を上げながら倒れた壮馬に、急いで駆け寄る。

「大丈夫!? 」

「まあ、なんとか……」

「いきなり難しかったね。ごめんね。」

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