第7話

 私が差し出した手を掴み、壮馬は立ち上がる。

「ゆっくりやろうか。」

 もう一度、ボール手渡すと、動き一つ一つ、フォームやコツなどを説明していく。



「よっと。」

 ゴール下から放ったボールが、一直線でゴールに吸い込まれていく。

「やった! 」

 両腕を上げて喜ぶ壮馬。ハイタッチを求めると、満面の笑みで応じてくれた。

 運動をあまりしたことがないと言っていたけれど、飲み込みは早いようだ。

「身体動かすのって楽しいね! 」

「そう言って貰えてよかった。」

「あかりが教えるのが上手なんだよ。あかりは、バスケやってたの? 」

「あー……。一応、ね。」

 バスケは、小学生の頃から高校がこんな状況になるまで9年と少しやっていたけど、とても上手いとは言えなかった。ユニフォームを貰うことが精一杯で、試合に出してもらえたのは、両手で足りてしまう程しかない。

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