残り1ヶ月

第9話

 3月。壮馬と出会って1ヶ月が経った。つまりそれは、"この世界が壊れるまで1ヶ月しかない"ということだ。

 火星にいける資金なんてなく、偶然チケットが当たることを願うばかりだ。

 ここ最近、壮馬が学校に来ないことが多くなった。体調が優れないそうだ。

 病気が悪化していないといいけれど……。


 暖かくなってきたせいか、何をする気も起きず、図書室の机にただただ突っ伏していた。時間が経ち、だいぶ日が高くなった頃、壮馬は図書室に姿を現した。

「おはよう。今日は体調大丈夫なの? 」

「うん。心配かけてごめんね。」

「全然。大丈夫ならよかった。」

「今日は何をしようか。」

 荷物を下ろし、向かいの椅子に座った壮馬が問う。

「なんか、なーんにもやる気が起きなくてさ……。」

「んー、じゃあ、出かけない?

 一回やってみたかったんだ。友達と出かけるって言うやつ。」

 悪戯な笑を浮かべると、私の手を引いて歩き出した。


しかし、すぐに様子は一変して、壮馬は口元を押さえて苦しそうにしゃがみ込んだ。咳き込んで、苦しそうに。

「そう……ま? 」

「大丈夫だから。気にしないで。」

こちらを向いた壮馬の口元には一筋の赤が伝っている。

口を覆っていた手を強引にとって掌を見ると、そこには血がべっとりついていた。

「これ、大丈夫じゃないよね!?

病院! 早く病院行こ!! 」

「待って。落ち着いて、あかり。

僕は病院には行けないんだ。」

「どういうこと……? 」

「少し長くなるけど、いいかな? 」

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