まさかの再会

午後の授業もホームルームも終わり下校時間になった。

「山本くん、それじゃ行こうか。」

「あぁ。んじゃ行くか」と言い悠一と奈央ちゃんに断りを入れ教室へ出た。


「おいおい。あの2人付き合ってんのか?」とある男子が言う。

「でも、付き合ってそうじゃない。浩一って結構かっこいいし」と悠一が言った。

「羨ましいなぁ。」


「ごめんね。忙しいと思うのに...」と言う涼風さんに

「大丈夫だよ。どうせ暇だし」と言いなるべく肩身が狭くならないようにした。


「確か家は香椎だっけ?」

「よく知ってるね。そうだよ。ここから15分ぐらいかな」

「昨日はわざわざありがとね。手伝ってくれて。おかげで8割は終わったから」

「また何かあったら言ってね」


正門に向かう途中にある男子生徒がある話をしていた。

「校門にめっちゃ可愛い子がいたぞ!」

「マジか!声でもかけに行こうかな」という声が聞こえた。


「ふーん、山本くんもやっぱり可愛い子がいいんだ。」と涼風さんがからかい口調で言ってきたもの、涼風さんもめちゃくちゃ可愛い。

「そうだけど、涼風さんも可愛いと思うよ」と言うと涼風さんは真っ赤になって顔を下げてしまった。


校門が見えてきて目に入ったのは意外な人物であり少し面倒くさくなりそうな人物だ。


「マジか〜」

「どうしたの?」と涼風さんが聞いてきた。

「校門にいる子。知り合いだった」

「どうしたんだろ?学校まで来て?」

「なるべく見つからないようにしよう」と言い涼風さんの手を引いた。

「あっ。」と涼風さんは呟いたもの気付いていない。


「久しぶり。浩一くん」と少女が言った。

「なーぜ分かったんだ。なんか用がある?」

「今日時間ある?」と少女が言った。

「悪い。ちょっと用事があるからまた後日」と言い急ぎ足で行った。


しばらく歩き駅が見えて来たところで一旦止まった。


「なんで逃げたの?」と涼風さんが聞いた。

「あの子、俺の元カノ」と言うと

「えっ。彼女いたの?」

「うん。中1から付き合っていて卒業と同時に自然消滅したんだ。」と説明した。

「そうなんだ...でも今は付き合ってないんだね?」

「当たり前。でも彼女っていた方が良かったかも知れないなぁ。彼女とはやっぱり合わなかったのかなぁ」と言うと

「そうなんだ。よかったー」と言う涼風さんに

「何が良かったの?」と尋ねた。

「うーん。なんでもない」と笑顔で言った。

(可愛いなぁ〜)


「うわ、デカっ!」着いたのは和風豪邸だった。

家ではお家周りがあるがここまで見たことのないくらいの豪邸だった。

さすが、警視監の娘さんだと思った。

涼風正治警視監の特徴は、事件の時は真面目で常に冷静沈着だが、非常に明るい性格だ。

特に子供に優しく、子供達の交通安全教室などでは警視監直々に行っている。

俺にも良くしてもらって、孤立している際には相談に乗ってくれた。

俺と同じ年の娘さんがいるとは聞いていたがまさか涼風深雪さんだとは昨日まで思ってもなかった。

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