第9話 涼風深雪side キッチン

涼風深雪の得意な事といえば、料理だ。(本人いわく)

どれくらいの実力かいうと、中学時代の夏休みの料理についてのレポートで3年連続金賞をとるという実力だ。その為、キッチンは慣れているからだ。

キッチンを頼まれたのでミスの無いようにしないといけない。


「えっとキッチン用品は」とダンボールから探している。因みにキッチンで既に置かれてあるのは、包丁とまな板だけだ。


一番最初に手に着いたのは、乾燥機だ。これぐらいのマンションなら、乾燥機はついているものだと思ったが無かった。


「乾燥機はコンセントに」と呟きつつコンセントジャックに挿入した。


次に、フライパンだ。大、中、小と分けられてあり全て新品みたいだ。ふと、思ったが(彼は料理ができるのかしら?)と思った。

そこらへんは会ったばかりなので知らない。


なんやかんだで、いろいろしていたらあと食器だけになっていた。

(確か、食器は食器棚に置いといて)と言われたのでそのようにしておいた。

自分の家ではないのだから迷惑をかけてはいけないと思っていたのか...


かなり、早く終わってしまったので、水が出るか、ガスは着くか、乾燥機は作動するかどうかを確かめていた。


これで大体終わったと言っていいだろう。

「ちょっと、早く終わりすぎたかな」と小声で呟き、今さっきから気になっていたことがあった。それは、浩一には好きな異性がいるのか。


さっき、知らない女性が浩一と口論になって、自分が襲われかけたことがあった。

「山本くんって、好きな人いるのかなぁ?」と呟いてしまった。

それで、いてもいなくてもには自分には関係が無いかも知れない。けど、とても

浩一は魅力的な男性だと思っていた。勿論、悠一も良い人だと思う。

例えると悠一は堂々と咲いている向日葵の様だが、浩一は何かにとらわれていて、雨の涙えを流しながら力強く咲いている、紫陽花の様だ。


次第に自分が何故浩一のことを考えているのかが分かった。そう、私は彼に”一目惚れ”していたのだった。


自分でも頬が熱くなっているのかが分かっている。今、この表情を見られると大変だと思い平常心に戻ろうとするが、そう簡単には戻らない。しっかりと恋する乙女になっていたのだ。


家はずば抜けて裕福では無いものも、元名家ということがあって小学校から福岡ではお嬢様学校と言われる、桜坂女学校に入学した。そのこともあり、入試の成績は非常に良かった。合格通知表には合格か不合格なのかの結果だけでは無く受検者全体での順位も書いてあった。

私は受検者全体483人中3番目だった。総合点数は1教科50点(5教科250満点)に対して5教科490点だった。それ以上の点数を取った人が2人いるのを考えると驚いた。

因みにベスト3は

1位 250点 山本浩一

2位 246点 平塚奈央

3位 240点 涼風深雪


みんなの作業が終わり全員集合し、これからのことを考えた。結果取り合えず確認することになった。


順番は私が担当したキッチンが最初だった。緊張したが山本くんから完璧と言ってくれた時は嬉しかった。


すこし、山下くんが担当した浴場は少し酷かったものも、全体的に良かった。


何もかが終わり、これから何しようか?と奈央ちゃんが尋ねた時、山本くんが真剣な表情で中学時代のことについて説明するようになった。


行ってる、途中に奈央ちゃんと話しているうち仲良くなり、お互いに名前で呼ぶようになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る