第4話 新たな出発と再会

「浩一、お前何があったんだ?」と尋ねてきた。しかし、言える訳がなかった。

「悪い。言えない」と一言。しつこく聞いてくるかと思いきや。

「まぁ、人には言えないような事はしてきているのは俺もだしな。気にすることは無いな」

本当に同意しかねる言葉だった。もうこの事は思い出したくない。


「1年3組の皆さん、今から入学式が開式しますので出席番号順に並んでください。」とのお知らせだ。

出席番号が最後の俺は1番分かりやすく最後尾に並んだ。

思えば、ここの女子は平均的に容姿が良い。流石、マンモス校と思った。


「今から、平成30年度私立福岡第三高等学校入学式を挙行致します」との放送があった。

そして、今日1番辛い校長先生のお話の時間。死ぬほど長いため割愛。およそ、1時間30分あったと思う。

お偉いさんからの祝辞や、教鞭をとる先生達の紹介があった。因みに、3組の担任は進藤春乃先生だ。名前だけの紹介だった為、どんな先生か分からなかった。これがライトノベルなどだった、若い美人先生だろうなぁと思っていたが、それが現実になるとはまだ思ってもいなかった。

ざっと、入学式は2時間30分はあった。(はぁ〜疲れた〜)


教室に戻り、担任の進藤先生が来るまで前の席の悠一と話していた。

思えば、隣の席の人に挨拶していなかった。

そして浩一は勇気を出して隣の人に声をかけた。

「あの、隣の席の山本浩一と言います。以後、お見知り置きを。」

すると

「わざわざ、ありがとうございます。あれ、浩一くん⁉︎」

(え、会った事があったけ)と思い

「僕と以前お会いしましたか?」と尋ねると

「まさか、忘れられているの!少しショックかも。保育園の時一緒だった、平塚奈央だよ。」そういえば、いたような気が、あ!

思い出した。家が近くて、よく遊びに来たりして母さんに「将来、あんた達結婚すればいいじゃん」とかよくからかわれていた。

「あの奈央ちゃん⁉︎近くに住んでいたあの奈央ちゃん⁉︎」

「そうそう、あの奈央ちゃんだよ。久し振り会えて嬉しい‼︎」といきなり抱き着いてきた。そしたら、クラス中が俺に強烈な視線を送ってきた。特に男子が。

「再会出来て嬉しいけど、離れてくれないかなぁ。視線が痛いし。」

と訴えかけた。

「ごめんごめん。ついつい嬉しくて。これからよろしくね!」と満面の笑みで。

(滅茶苦茶可愛い)思ったが顔に出したらいけんと思い平常心を保った。

奈央ちゃんはセミロングの黒髪の髪に綺麗な目をした子だ。美少女といってもいいほど可愛い。

けど、少しおちょこちょいで男子からすると守ってあげたくなるタイプだ。

挨拶を交わし前を向くと、怒りの趣きで悠一が

「ああ、モテる男はいいよな〜。」と言いながら足を踏んできた。

(いやいや、お前の方がモテるだろう)と思いながらも、「俺は、モテてないぞ」と言った。

「まぁいいけど、涼風さんが怒っているぞ」と言われ涼風さんの方を向くと一瞬目があったがすぐ逸らされてしまった。

(何故、怒ってるの?)と思った。もうすでに、涼風さんは浩一に惚れてしまっていた。

(ああ、なんでこんなにモヤモヤするの。山本くんが女の子と仲良く話していただけなのに)とまだ涼風深雪本人は気付いていなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る