デート4
俺と深雪は手は恋人繋ぎで地下鉄に乗っていた。
まさか、ここまで早く自分の気持ちがわかるとは思ってなかった。
ましてや、後先考えずに涙を溢し告白するなんて男らしくない。
深雪は、俺に肩に寄りかかって眩しいほどの笑みを浮かべている。
そんな、深雪が愛しく愛しくたまらないのである。
人が居なければ唇を奪っているところだった。
さて、付き合ったのは嬉しいが問題も残っている。
まずは、奈央ちゃんと悠一への報告だ。
悠一は兎も角、奈央ちゃんはショックを受けると思う。(受けないかも知れない)
俺も薄々気づいていたが、好意を抱いてくれていることはもちろんのこと気付いている。
なるべく、深雪と奈央ちゃんとの関係にヒビが入らない様に話さなくてはいけない。
そう考えてると、祇園駅に着いた。
お互いに手を繋いだまま、電車を降り俺の家へと向かった。
「でも、俺の家で何するの?」と聞いた。
「まずは、昼時だからご飯かな。失礼だけど、冷蔵庫に何が入ってるの?」
「まぁ、豚の細切れと野菜だったらピーマン、キャベツ、レタス、もやしぐらいだった気がする」
「わかった!じゃあ私が作っていい?」
「おお!待ってました!実は、自己紹介の時に趣味が料理ということで気になってたんだんよね!」
「なら良かった!」と言って深雪は手ではなく腕を組んできた。
案外控えめな性格かと思っていたら積極的な女の子だった。
しばらく歩くと俺の家が見えてきた。
土曜の昼ということでオフィスから多くの会社員が弁当などを求め歩き回っている。
「深雪って、将来の夢って何?」
「将来の夢?う〜ん、なんだろう。けど、女の子だからやっぱり、愛する人のそばにずっといたいなぁ」とのこと。
「じゃあ、俺が深雪の愛する人にならないとな」
「えっ!うん。浩一くんなら喜んで」と言うもんだからこめかみ付近にフレンチキスをした。
「ひゃっ!」と驚いた声を出して、顔を真っ赤にした。
「もぉ。元カノさんにもしてたのかなぁ?」と聞いてくる深雪に、
「元カノにはこんなのはしてないよ。深雪が俺を喜ばせるようなこと言うからだろうが」とまたこめかみに軽くキスをした。
まぁそんな出来るかと言えば家の前ということもあるが…
俺は、鍵を取り出しオートロックを解除した。
そしてエレベーターホールで4階に止まっていたエレベーターのボタンを押した。
すると、同時に電話が掛かってきた。
携帯は仕事の方で宛名は慎一。
「俺だ」
「真っ昼間からすみません。一応今日から潜入捜査に戻りますのでご報告しておきます」
「了解。気をつけて」と言い電話を切った。
慎一は潜入捜査のプロであり、よく潜入捜査を行なっているがそろそろ俺にも潜入捜査が降りてきそうで少し怖い。
潜入捜査だと、長期間滞在しないとならないからだ。
日本で活動している以上日本内での潜入だが、もしかすると海外でも潜入捜査をしなければならない可能性があるからだ。
エレベーターが1階から22階へ到着し鍵をポケットから取り出し、鍵を開けた。
「お邪魔します」と律儀に挨拶した。
「散らかってるけど」と一応忠告した。実際に女子の家に行ったことは元カノの家と深雪の家だけの為比較がしにくい為下手したら汚いと思われるからだ。
「そこまで散らかって無いけど…」と深雪は言ってくれた。
前は部屋になにもなかったが今は家具などが揃っている。
しかしながら、俺は片付けが苦手だ。
どうも片付けしようとする気力が無くなってしまう。
(そういや前もこんなやり取りしてたな)と中学時代のことを思い出した。
俺の初恋だった相手だったから忘れたいとも思うわけでもなく、仲のいい女友達でいたいけど彼女はどう思っているのだろうか。
「いかんいかん。元カノのことを思い出すのは今じゃないな」と小声で呟いた。
深雪は早速冷蔵庫から具材を取って昼飯を作っていた。
俺もするべきことをしようと思い周りを見回すがこれといったことがない。
すると調理中の深雪が聞いてきた。
「元カノってどんな人だったの?」
「元カノねぇ。まぁ小学校の時からいつも一緒にいたから付き合うのは必然的だったんだろうけどまさかこんなに早く彼女ができるなんて思ってなかったな」と俺は深雪そばまで言った。
「けど、元カノのことを聞いたの?」
「だって。彼氏の元カノのこと聞くのって普通だと思うけど違うかなぁ」
「俺は別にいいけど。他なら聞いて欲しくないと思うけど。でも一回でも本気に好きな人だからすぐに忘れられないから辛いだよなぁ。こんな時に告白するなんて俺って最悪な男だな」と笑って深雪に言ったが、深雪はガスのコックを回し背伸びをし俺の唇を奪ってきた。
今回はフレンチキスではなくより深いキス。
時間的には15秒ぐらいだろう。
2人とも息が切れてしまった。
そして深雪は息を整えてこう言った。
「元カノのことを忘れるのは手伝うから、これからは私のことだけを見ていて。今あなたを愛してるのは私なんだから」と。
なんか俺より男だしいと本心から思うのであった。
あとがき
投稿がかなり遅れてすみませんでした。
リアルで最近休みという休みがなく多忙な日々を送っていたあまり、小説を書く気力が無くなってしまい久しぶりに書こうとしたところ頭にイメージがインプットできずスランプ?みたいになってしまいました。
無駄に書くだけ書いて次回があるかどうかの作品を多く投稿している私ですが、処女作のこの作品と私の大好きな野球の作品である、勝利への道は完結させるつもりですのでこれからも温かい目で楽しんでくささると幸いです。
僕と彼女の物語 山本霄蔵 @Last-dance
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