僕と彼女の物語
山本霄蔵
第1話 出逢い
僕と彼女の物語 1章
4月6日 私立福岡第三高校の入学式
俺は開始期時間の約2時間前に着いた。第三高校は偏差値52と決して高くない高校だが福岡では1,2を争う人気高校だ。
「こんなに早く来た意味が無かったなぁ」とどうにかして暇をどう潰そうと考える。
残念ながら、誰ひとりも知らないという完全アウェーな状態である。
「えっと、俺は1年3組の出席番号40番だな。また最後かよ」名前が山本浩一だから必然的に番号は最後になる。ちなみに中三は39番の最後だった。
この高校生活では何事もなく平和を祈っていた。しかし、無残にもその望みはすぐに破られるのであった。
「あの、3組の方でしょうか?」と聞かれ振り向くと、髪が長く、人当たりがよさそうな子が立っていた。
思わず見とれてしまい返答が遅れたが「そうです。」と返した。
「よかったー。私この学校に知り合いいなくて困っていたのです。よければ教室までご一緒にさせていただけませんでしょうか?」と尋ねられたから
「はい。もちろんいいですよ」と返した
「ありがとうございます。」と満面の笑みで返されたから少し照れくさくなった。
(なんだこの視線は)と思い振り返ると、周りの男たちが睨んでいた。
(なるほど、そういうことか)と納得した。なんてたって、俺と話しているのは美少女といっても過言ではないほどの女性だったからである。
かたかたと階段に響く足音で2人ならんで上がっていた。
「あの、どこの中学校から来られたのですか?」と尋ねられたから
「安徳中です」と答えた。どうやら彼女は知らなさそうだ。「君は?」と聞き返すと「桜坂女子中学校です」と返された。
桜坂女子中学校といえば私立の女学校で大学までエスカレーターで受かるほどのいわゆるお嬢様学校だ
「桜坂女子中学校って、あのお嬢様学校の?」と聞くと
「そんなことはありませんよ。確かにいろいろな令嬢さんはいましたけど、普通な一般家庭の人もたくさんいましたよ。わたしもその1人です。」と慌てているような感じで答えてくれた。しかしこういう反応は可愛い
「そういえばまだ、お名前をお聞きしていませんでした!私は涼風深雪と申します。あなたは?」
「俺は山本浩一です。ちょっと古くさい名前だが気にしないで下さい。」というと
「そんなことはありません!とても良い名前だと思います!」と大きな声で言われた。
「涼風さん、声が大きいです」と注意すると頬を真っ赤になった。
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