　二七作品目は、雪本つぐみさんの作品です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885814119

　……はっきり言いますと、のっけからダークです。ダーク要素満載のバトルロワイヤル。心を、グッと引き付けられましたね。特に中盤の畳みかけるような人物の思考の積み重なり。ちゃんとカタルシスも用意されていて、完璧です。

　そして、アクも強い。

　なんていうんでしょうか。読めば読むほど、複雑怪奇なその世界に飲み込まれます。我を忘れて、一日で読了しました。そう言う意味では、読者に考えさせる間を与えない小説ですね。

　鬱展開も、ばっちり組み込まれている……というか、五割くらいは鬱展開。

　異能力バトルものなのですが、システムが鉄板にもかかわらず、しっかりと爪痕を残す語り口。これは圧巻でしたね。

　さて、……アドバイス。

　僕の好みに近づけるには、作者の性癖を『さらに』ぶっこむことが重要です。といっても、これから物語が大きく進むにしたがって、どんどんクセを強くしていくのが効果的です。そのころには、僕を含む読者は、すっかり刺激に慣れて、この作品が持つ真の魅力へと到達できることでしょう。そういう意味で、展開が支配された物語だと言えます。

　数々の意味深な台詞。展開。フラグと言う言葉を感じさせない、突拍子もない展開。

　何から何まで、エンターテインメントと芸術、両方に置いて素晴らしい作品だったと思います。

　企画の参加ありがとうございました！