異界から来たりて~人間界の蝕み~

 四作目は、@Yupafaさんの作品です。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885677788


 この作品は非常に世界観が独特で、見る人を選ぶと思いますが、僕は好みでした。グロ描写が多量に、ライトにしてあるので、苦手な方もいるかもしれません。でも、作品の雰囲気はしっかりと確立されていて、地の文でしっかりと映像を浮かび上がらせる作者さんの力量に、関心致しました。


 まずは、良い点ですね。非常に設定や展開が凝っていると思います。作者さん自身が、ダークファンタジーの要点を、よく考えているからこそできることですね。ルーレットを使うのに血が必要、という部分は、ジョジョの石仮面を思い出しました。確かにジョジョの、あの怪奇的な雰囲気と似ているんですよね。正統派の怪奇小説として、しっかりとした枠組みがある作品です。


 さて、改善点、アドバイスですね。……読んでいて個人的に思ったのですが、『心理描写』が、若干薄いと思います。主人公が窓の外の異形を見たときに感じるはずの『恐怖』や、『動揺』が、あまりはっきりと映し出されません。これでは、主人公が、数々の修羅場を潜り抜けてきた屈強な人物、もしくは普通でない精神を持った人物という印象を与えてしまいます。要するに、怪奇現象に対して冷静に見えてしまうんですよね。

 作者さんは、(おそらく)主人公は平均的な精神を持った人間として書きたいと思われます。その場合は、情景や光景をありのままに描写するのではなく、『主観的に』、『多少は主人公が見る景色をゆがめて』、感情を入れて書くことが重要だと思います。例えば……。


 理解できなかった。

 目の前で何が起こっているのか、恐ろしすぎて認識できない。

 いや、認識したくない、脳が拒否している。しかし、私はそれから目を離すことができずに固まっていた。


 こんな感じの文章、感情と行動を結び付けた文章を、うまく元の文に挟むことによって、格段に読者に起きていることの異常性が伝わりやすくなります。

 この物語は、要素として、やはり『ホラー』があげられますので、恐怖の心情の描写は大切です。登場人物の言動も、主観的な要素を入れて人間味を強調しましょう。

 例として……。


「私は、あそこへ行かない。危険だからね」

「私は、あそこへ行きたくない。危なくて怖い」


 どちらが、主観的ホラーに適しているかは、一目瞭然ですよね。このようにちょっと変えるだけでも、効果的な異常性の協調ができます。


 今回は企画に参加してくださり、ありがとうございます。

 このアドバイスを受け入れるかどうかは、あなた次第です。

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