やがて来る僕らの終わり
六作目は、髭鯨さんの作品です。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885444370
初めから、現時点までずっと陰鬱な展開が続き、残酷描写も結構な小説ですが、かなり好きです。こういう、がっつりハードなものというのは、それはそれで趣がありますね。作者さんのコメント変身にも『甘さは最低限』みたいなことが書いてありましたし、いい味出してます。
さて、良い点ですね。何と言っても、作品が進むごとに増大していく恐怖感が上質なんです。なんかこう、作ってよせたみたいなジャンキーなものとは違って、『ひぐらしのなく頃に』とか『かまいたちの夜』みたいな、ジャパニーズホラーのスタイルが初めからしっかりと確立されているんですよね。主人公の心の揺れ動きとかが、こちらにぶち込まれるように伝わってきます。かと思えば、妙に淡々とした情景の描写もあって、そこでぐっと引き込まれるんですよね。
何処をとっても、地盤がしっかりしているから、変な言い方ですけど『物凄く恐怖が上質』。陰鬱な展開と入っても、まだ物語の真相は明らかにされていません。これからにも期待ですね。
で、改善点。僕はホラーを書いたことがないですので、物語の詳しい展開とかにどう口出ししてよいのか分かりませんので、アドバイスが抽象的になりますが、許してくださいね。
ホラーを書く上でのいわゆる要は、どうやって感情や不条理を表現するか。要するに『非論理的要素』をどのように描写するか、だと思うんですよね。こんなの嫌だ、絶望。どうして自分がこんな目に。筋が通っていない状況や、訳が分からず死んでいく仲間たち。こんな要素がホラーを主に強くしています。
この点においてこの物語は不十分ではないのは確かです。ただ……。
僕が言うと、少々描写が小手先に感じます。もっと言うと、『展開が装飾されすぎているのです』。おそらく、作者さんは、よく勉強して研究されたんでしょう。ホラーを。意識的にか無意識のうちにかは知り得ませんが。
描写が的確で理解しやすいのは良いことですが、もうちょいと『粗削りで、読者に優しくないほうが』主人公の置かれている恐怖が鮮明になると思います。
要するに、変な言い方をすれば『描写をちょっと雑にしなさい』ということですね。
主人公の心理の揺さぶられ方を的確に描写するためには、実は『ムラ』が大事だと、僕は思うのです。このムラの付け方が作者さんによって違うのですが……。
でも、このままでも十分にいい作品ですし、下手に変えれば悪くなってしまうかもしれません。このアドバイスを受け入れるかどうかは、あなた次第です。
ぜひ、更新をお待ちしております。
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