明日の「あ」を狩る赤城さん。

埼玉県の御留美市を夏に離れ、夏、秋、冬と、四季のほとんどを岐阜県の飛騨で過ごして来た高校一年生の宮川健人。辛いものが苦手ながらも担々麺を好物とする、ちょっと変わった少年は、高校一年生としての生活が残り一ヵ月という時期に、長年過ごして来た地元にひょんなことから舞い戻って来る。
半年以上会わなかった友人たちとの会話が弾む中、健人はひとつの違和感を、友人の吉祥ウラとクラスメイトの三鷹美樹によって指摘されてしまう。
それは――――「あ」を何者かによって取られてしまったこと。
この世の全ての「あ」と付くありとあらゆる言葉を喋れなくなってしまった健人は、是が非でも取り返そうと、噂や都市伝説にもなっている「言霊使い」という存在を探すために、躍起になる。そんな最中で、「あ」を失った思わしき場所――湯島の担々…続きを読む