第4話 殺し屋の苦悩 その1
不思議な女子高生
流石に不死身の女子高生に出会うのは初めてだけど、怪物じみた能力を持つ人に会うのが初めてという訳ではないので、次の日まで影響が残るほど動揺はしていない。
だけど…
(超速再生能力と不老不死の身体を持つ人を殺す方法なんて、あるのかよ…)
授業中や休み時間、ずっと頭を抱えていた。
腕を吹っ飛ばして修復させている間に、足を切るか?いや、修復の速度や制限によっては使えない可能性の方が高い。
また、一度喰らった攻撃はどうやら吸収されやすいみたいだ。5発の弾丸は心臓こそ外れたものの、それぞれの局部に命中した。にも関わらず、心臓の傷より修復が早すぎるのがいい証拠だ。
じゃあ、爆発によって身体を四散させるか?いや、そこまでの威力を民衆に隠す事は困難だ。俺は、暗殺は得意でも破壊するのはやったことがあまりないので、経験が少ないのが悔しい。
「おーい、ひかる?難しい顔して何考えてんの?」
いつの間にか、後ろから声がかけられていた。
いつのまにか授業が終わり、話し声が教室を包む。
「あー…いやさ、さっきの授業の授業寝ててさwwノート写してたらこれどういう意味なんだろうって」
まさか、本当のことを言うわけには行かないので適当にでっち上げた。
「相変わらず、寝不足だな。またゲームか?健康に悪いぞ」
「うるせーな、俺は12時間寝ても寝足りないの!」
だいたいにおいて、睡眠不足はこの仕事やってりゃ職業病だ。
ちなみにこの男は
しかし、当人は『将来のためにうつつを抜かすわけにはいかない。』とか言っている。
貴重な3年間なんだから楽しめばいいと俺は考えるのにな。
……俺が言えることじゃないか。
「相変わらず女子の目線が痛いよ、あいつらと話してきたら?」
「俺はそういうの興味が無いって言ってるだろ。ひかるこそ気になる人とかいないの?」
この色男は、そういってはぐらかす。
「このクラスには俺の好みはいないな」
「お前の好みってなんだよww 二次元か?だったらこの世界にはいねーよww」
「バカにすんなよww」
別にアニオタってわけでも無いのに、根暗ってだけでそういうレッテルを貼られるのはなぁ…
「だったら他のクラスは?例えば…ミクさんとか?」
「だからからかうなって、初音ミクがここにいるかよ」
「お前本当に同級生と関わりないんだな…ほら、4組の大堰川未来さんだよ」
は?
嘘でしょ?
「いやぁ、あの娘は静かそうだけど美人だよ、絶対将来可愛い娘になるんじゃね?」
お前結構そういう目で見てんじゃねーか、恋愛に興味ないとか言ってさ、
じゃなくて、未来さんって…
「おい、どうした?」
俺は席を立って4組の教室へ行った。
他のクラスへ行ったことは無く、少し緊張したので、遠目から見た。
すると確かに彼女はいた。
まさか同じ学校の生徒だとは思わなかった。制服も着ていなかったのでしょうがないのかもしれないが…
教室の机で本を読んでいるみたいで、他の人も余り関わりがなさそうである。
ちょっと観察していると、彼女は視線に気がついたのか本を読むのをやめた。
「お前、行動が早いんだよ、ったく…」
涼輝がこっちに来たみたいで、肩を掴む。
いつの間にか、彼女はこっちを見ていた。バレた?いや、俺はあの夜と格好がちがうし、気になるのは有名な涼輝の方だろう。
「あれ?ライトさん?」
しかし、結局彼女は一番嫌な結果に傾いた。
そうだった。メガネの人が裸眼にしてもバレにくいが、裸眼の人がメガネをかけても気づく可能性の方が高いんだった。
俺は思わず溜息をついた。
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