第2話 殺し屋と死にたがり その2
9時より少し前に桜内公園へ足を向けると、すでに
「こんばんは」
俺は黒いパーカーのフードを外し頭を下げる。
俺が暗い色で統一しているのに対し、彼女は白っぽいワンピースを着てきた。彼女なりの死装束なのだろうが寒くないのか?であればこちらも敬意を持って静かな面持ちで相対する。
「取り敢えず2つ選択肢を持ってきました。1つ目はナイフで頸動脈を切る方法、2つ目は脳と心臓に銃弾を打つ方法です。
どちらも多少の痛みは伴いますが、すぐに意識がなくなるのでご安心ください」
「では銃弾のほうでお願いします」
「分かりました。では準備に取り掛かりますので、少々お待ちください」
と伝えて、弾倉を込めた。
彼女は後ろを向いて深呼吸をしている。呼吸を落ち着けているのだろう。
「それでは始めましょうか」
俺は5mほど離れ、自動式拳銃を向けた。
「お願いします」
彼女は胸の前に手を組み、眼を閉じた。
皆んなそうやって願うように死のうとするけど、この場合心臓に狙いづらいから出来ればやめてほしいが仕方がない。
カチャカチャ。
超小型のサイレンサーのおかげで、大きな破裂音はない。
銃弾は彼女の心臓と頭に命中した。
彼女はそのまま後ろにふらっと倒れる。
白いワンピースには紅色の染みが左胸の方から広がっていく。
俺は深く一礼しその場を去ーー
「すみません、終わりでしょうか?」
俺はすぐ後ろを振り返り5発ほど撃ち放った。
彼女が立ち上がっていた。その後の5発も全て当たったが、血はすぐに止まった。無論、心臓の染みも広がらなくなっている。
俺は久し振りに身の毛もよだつ恐怖を覚えた。
「お前、何者だ⁉︎」
彼女が依頼人なのを忘れ、パニック状態になりながら左手に拳銃、右手にナイフを構える。
「も、申し訳ありません、言い忘れていたことがありまして…」
血で汚れている衣服など、存在しないもののように見向きもせず彼女は続けた。
「実は私、不死身なんです」
はぁ?
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